脳内ニューゲーム『スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団』

エドガー・ライト期待の最新作。渋谷にて見てまいりました。実はボクいわゆる「わちゃわちゃした映像」だとか「ボンクラ男子が主人公の物語」だとかが言うほど好きではなくてですね、あと、妄想は妄想だからいいのであって、急にまゆゆが目の前に現れたりしても困っちゃうんじゃないのー?とか、まあ色々と心配していたんですけど、なんてことはない本年度どころかここ数年で一番トップ!一番トップ!一番トップでっす!

エドガー・ライト監督の趣味がこれでもかと爆発して起きたあれやこれやのスクランブルっぷりがとても素晴らしいのだけど、ボク的にサイコーだなと思ったのは映画にある驚異的なテンポの良さ。そして、そのテンポの良さにこそ本作の魅力が詰まっているんじゃないかと思いました。

オープニングにある「1!2!3!4!ドゥードゥードゥドゥドゥ♪」の掛け声はドラマーであるキム(asアリソン・ピル)が行なうものだけど、そのタイミングというのがスコット(asマイケル・セラ)らバンドメンバーの話の腰を折るような絶妙なモノで、また、それと同じようなくだりは二度三度と繰り返し描かれる。そして、もうひとつ二度三度あるものといえば、スコットの同居人でゲイのウォレス(asキーラン・カルキン)の言う「がんばれー!スコットー!」といった台詞で、スコットが元カレとのバトルを開始するとウォレスはそのときの会話を端折ってでも「がんばれー!たたかえー!」とスコットに声援を送っている。

この映画にあった心地のいいテンポというのはゲームにある「イベント」のようなもので、「誰々が何々をしたらこのキャラクターは何々をする」というプログラムじみた仕掛けがなされていて、ゲームなどを元ネタにした映画というよりはゲームそのものが映画になった作品だと思うのだ。スコットが「17歳の女の子と付き合ってる」と口にすればその事実は瞬時にウォレスからスコットの妹ステーシー(asアナ・ケンドリック)に伝わるよう世界観が出来ているし、それはたとえウォレスが眠りこけたとしても伝わってしまうモノであり、もっといえばバトル開始場面やヒロインであるラモーナ(asメアリー・エリザベス・ウィンステッド)に一目惚れする場面、さらに劇中の舞台移動があまりに激しく唐突だということも「スコットがどこどこに行くと誰々が現れる/何々が起きる」という世界観が出来ているからなのだ。

というわけで、色々書き散らしましたが、個人的にはゲームから得る高揚感がそのまま映画に置き換えられたまったく新しい大傑作。鼻息荒く宇都宮から渋谷へと出向いて鑑賞してきたわけですが、たしか地元では14日に公開予定なのでもう二度三度は必ず鑑賞したいと思います。っていうか今スグにでも見たい。本当に大好き。どうやらこの映画に一目惚れしちゃったようですねうふふ。もっかい見るまでに色んなひとの感想や原作コミックを攻略本にして「つよくてニューゲーム」であります。スッコピルにしてやんよ!