「ワイルド・スピード MAX」

予告編があんまり面白そうだったんで、数の多い今週末公開作品のなかで最優先にしていた本作。一作目はほとんどマンガだったけどそれがレースの興奮に繋がっていて、二作目は残念ながらつまらない三流ポリスアクションでこのシリーズもう終わりかなと思ったら、シフトチェンジした三作目がでてきた。この三作目は周りの評判がすこぶる悪かったので、劇場スルーしてしまったんだけどちょっと前に観てみたら、どっこいおもしろかった!おつむの弱さがたまらなく好きです。シリーズの細部を忘れてる分、3が最高傑作なんじゃないの?と思ってしまったくらい。

その3の監督とヴィン・ディーゼルの里帰りという好材料があったので、わくわくしながら待ちかまえていると、冒頭の「最初からクライマックス」でいやな予感がしまくる。思ったんだけど、予告編で印象的に使われてる場面を初っぱなに持ってこられると、なんだかちょっと損した気分になってしまうんだなぁ。去年『ウォンテッド』の予告編を観たときにアンジーのグッバイに惚れてしまい、「かっけー!あのシーン絶対最後だよなー!」と興奮したのを思い出した。『ウォンテッド』は期待通りだったけど本作はちょっと駄目だ。てか脚本が同じ人なのか。

鑑賞後にまず頭の中をぐるぐると回ったのが「こ、こんなのが観たかったんじゃねぇ!」という失意たち。物語は良くも悪くも小綺麗な復讐劇になっていて、レース場面も色々と制約があってとにかく求めていた爽快感があまりない。復活のニトロも使ってるんだか使ってないんだかわからない場面が多くて不満。とにかくヴィン・ディーゼルに華を持たせすぎな感じ。やっぱり引き立て役だとしても主人公はオコナーにするべきだよなぁ。

あまり必要ないと思うけど「ボス」に捻りを加えるなら、あの女にしたほうが良かったんじゃないの?てかこれ見よがしなカット割りをしてたから、FAXの顔を見て「え!?」って変に驚いちゃったよ。まぁ、そういう細部はともかくとして、レースのとこで「封鎖はしない」と聞いたとき「え、それじゃ見分けつかないんじゃ…?」と思ったり、トンネルのとこも狭苦しくて見ていて窮屈になったり、色々と曲がりくねりすぎ。このシリーズ自体が色々と変わりすぎだけど、やっぱり車映画ならおつむのネジを緩めてとにかく疾走感だとか爽快感にこだわってほしい。ドミニクとオコナーがいいキャラなだけに惜しい。

映画には確かにカーブや障害物が必要だけど、それは直線あってこそのもの。次作ではちゃんと「ナビ」に従って運転しましょう。(★★☆)