マンホールの違いがわかる男たち「ゴールデンスランバー」

原作伊坂幸太郎×監督中村義洋というお馴染みのコンビの本作だけども、まずなにを期待したかって、そりゃあ堺雅人。なんてったって堺雅人でしょう。いまノリにノッてる彼がぼくも大好きなので、彼がでている作品には彼見たさ以外に何も求めず向かってしまうのだ。で、その堺雅人だけど乗っけからやってくれる。信号待ちをする人混みの中なんと釣り人ユニフォームを身にまとい一人ポツンと佇んでらっしゃるのだ。いつもの微笑みスマイルがあれほどネタに見えたのは初めてで、ぼくは思わず吹き出してしまった。てかみんな笑ってたよ。

そんな堺雅人を始めとし、本作には香川照之竹内結子など豪華出演陣がたーくさんでていて、みんながみんな軽妙な演技を披露しておりました。特に堺雅人香川照之の掛け合いの場面がたまらなく素晴らしかった。映画のなかで度々「イメージ」ってゆー言葉が登場するんだけど、ほとんどの役者がそれぞれの持ち味を活かした演技を見せる一方で、ただ一人濱田岳だけはイメージにないキャラクターを演じていて、これがなかなかどうして上手いもんだから「ビックリした」。

そんな役者陣の軽妙さとは裏腹に物語は「堺雅人が首相暗殺疑惑をかけられる」という緊張感あるところから始まっているんだけど、「いいのか?」と思うほど緩ーい感じで進んでいくもんだから、スケールがでかいのか小さいのかよくわかんなかったです。まあ設定も設定だけどなんとなーく不思議な世界観があったなあ。予想していた「ハラハラドキドキ」はなく終始「へらへらどぎまぎ」させてもらいました。

結局のところ言いたいことは伊東四朗がカメラに言い放つ場面にでてると思うなあ。伊坂幸太郎って人間のあーゆーところに「信頼」を置いていて、「お前等がやってることは人の人生を狂わすんだぞッ!」という社会の「習慣」になっていることにその「信頼」が勝る、というところにエンターテインメント性を見出だしてるんじゃないかと。ぼくそーゆーのすごく好きです。まあ本作はチョット脚本がむずかしかった気もするけど、不思議な世界観と軽妙な演技がとても良かったです。一番笑えたのはマンホールを睨み付ける香川照之の形相!あれはすごい!とにかくぼくはこの映画に関わったひとたちを信頼しますよッ!

あと、男のイメージダウンにつながるので「痴漢は死ね」には同意。伊坂幸太郎は男としても信頼できる!(★★★)