その照準はいつまでも「ガルシアの首」

ずっと前から観たい観たいと言い続けておいて、結局観ていなかったサム・ペキンパー監督作品。最近、ツイッターなるものを始めたせいもあってか、暇さえあれば誰かのつぶやきやらブログやらの散策に夢中になってしまい、せっかく買ったPS3も眠ったまんまで、本もDVDもCDも放置というハイパー体たらく状態なのです。こりゃあいよいよいかんぞ!春はもうすぐそこまできとる!というわけで(?)、ようやく、本当にようやくの鑑賞となりました。がんばったよじぶん。

ガルシアの首』はタイトルそのまま一人の男アルフレッド・ガルシアの首をめぐるお話。欲太りした大地主の娘がどうやらそのガルシアの子を身籠ったらしく、うちの娘になんと!ガルシアの野郎!息子同然に思っていたのに!とブチ切れた大地主はガルシアの首に懸賞金をかけるわけです。で、その一件がうらぶれたバーのしがないピアノ弾きベニーの元へ転がり込む。ベニーは興味本位で仲間にその話をすると、なんとガルシアは愛する女であるエリータと繋がりがあると言うのです。なんてこったい!あのビッチめ!ぶん殴ってやる!にしてもガルシアめ!なんて野郎だ!見てな!いつまでも負けちゃいねーぞおれは!と映画が動きだします。

観てるとまあ酒がほしくなる映画で、薄汚い服やベコベコの車など、荒涼とした風景にとにかく喉が渇きます。けれども、最初のほうにある追っ手の車がズサーッつってスローになるところ。ぼくはあれ見てカッコいい!とかスゲー!というより純粋に「きれいだなあ・・・」とうっとりしちゃいました。乾いた泥がババババッと飛び跳ねるんです。パッ、スゥー、パッ!みたいなスローを挟む三段構えになってたのも素晴らしいです。そんなところにクラクラしていたら、今度は免許取り立て頃にやるデートみたいなピクニックがはじまって、次に髭モジャのショーン・ペンと髭モジャのカート・ラッセルみたいなならず者に襲われます。で、・・・あ、いやまあこの前半部はかなり好きです。起伏が少ない分あっという間に観れてしまう、みたいな。

この潮が満ちては引くみたいなゆったり感とは打って変わって、後半は怒涛のバイオレンス。と同時に感情もかなり揺さぶられます。過激でありながらこの上なく切ない・・・。べつに上手いことは書けませんが、なんだか言葉にしてしまうのが心苦しいくらい「言葉はいらない」映画ですね。あ、そうそう、ベニーとエリータの会話も後半は途切れ途切れで、なんていうかどんどん二人の心が離れていってしまう感じがして、とてもつらかった・・・。と、書きながら今2度目の鑑賞中ですが、ああ、「後でな・・・」と言われて流すエリータの涙・・・。もう切なすぎて泣けません。心が乾く超大傑作バイオレンス・ラブストーリーでありました。

お金で買えない価値が確かにあった。でも、もう戻らない。ええぃ!クソぅ!どいつもこいつもバーロー!クソったれぃ!(★★★★★)