燻らす男「ロング・グッドバイ」

ったく・・・。ひとが気持ち良く寝ていたのに何をさわいでやがる。猫ってやつは何も言うこときかないくせに、じぶんの気まぐれは押し付けてくるんだよな。なんだ、なんだよ、ああ、どうやら腹を空かしているらしいな。・・・フゥー。まあ、その気持ち、わからないでもない。おれもこの仕事が長いからな。仕方ない。買ってきてやる。わーってるわーってる、カレー印だろ。わかってるからおとなしく待ってやがれ。

ったく・・・。まーた踊り子どもがラリッてやがる。ストリップなら店でやれってんだ。・・・フゥー。それにしてもだ。たかがスーパーの店員のくせに、飼うなら猫より女ってか。ヘッ、ちげーねえ。猫に小判、女に浪漫、だな。お、よう、お前久しぶりだな。ちょうどよかった。いまおれは猛烈に男に飢えていたんだ。どれ一杯やろうじゃないか。ああん?いまか?いますぐか?・・・フゥー。仕方ない。準備はいいのか?

ったく・・・。いったいどうなってやがる。サツに尋問されるわ、ヤクザに踏み入られるわ、どこをどう考えてもやってられないね。サツときたらあれだ、ドラマ気取りで躍起になって質問してきやがる。こちとら絞って出るもんなんかひとっつもないのにな。ヤクザもヤクザだ。べらべらべらべらとまあ口がよく回る。しかしこの手の輩は何でかね、すぐ儀式めいたことをしだす。そんなもんが一体なんだってんだ。理解に苦しむったらありゃしない。まあ、連れの女はおれ好みだったけど。

ったく・・・。そういうことか。はっ、そういうことだったのかよ。・・・フゥー。あん?一杯やるかだって?はは、よう、おれはもうお前さんに一杯くわされてんだ。そいつはちーっとばかし笑えないジョークだぜ。・・・・・・・・・ったく。これだからこの仕事はやめられない。なあ、猫のお前ならわかるだろおれの気持ちが。ほれ、食えよ、どうした、腹空かしてんだろ。・・・フゥー。なんだ、やっぱりわかってるんじゃねえか。猫のくせに。

・・・ったく。なかなか見つからねーもんだなおい。いろいろと煙たくなってきやがった。しばらくの間、お休みだ。(★★★★)