愛の言弾「パリより愛をこめて」

パリより愛をこめて』観ました。

男子が憧れる存在として「正義の味方」がある。とにかく悪を正し、常に勝利する存在。ひねくれ者のボクには正義とされる側であるにも関わらず、その風貌がどう見ても悪人寄りであればあるほど輝いて見えるもの。

そんなワーオでクールでちょっぴり「(笑)」な姿を披露してくれたジョン・トラヴォルタさん。この映画の面白味の8割くらいは彼のパワフルさで埋まっているワケだけども、もし、彼のような「悪を正す正義のワル」になりたいか?ときかれれば、ボクはあっさりNOと言う。何でかってあんな争いごとに首を突っ込むのはまっぴらまっぴら!だからである。

ボクにはコカインの味比べなんかできないし、まずしたくもない。発砲したあとの銃口が熱いことだって、たぶん忘れてしまう。車をかきわけながら高速道路を爆走だなんて、隣に乗るのも御免である。「一発必中」が絶対条件ならば、120%外すであろう。言っちゃえばチェスのルールだってちんぷんかんぷんなのだ。

そんなボクにとっての「争いごと」なんてモノは、良いトコせいぜい彼女との痴話喧嘩くらい。でも、それだって大抵は収まりがつく。命の危険性まではまあまず無いでしょうよ。むしろ、よく言う喧嘩したあとには愛を確かめ合うとか合わないとかだったり・・・

現実世界で到底無理があること、自分にはとてもとても無縁であることが、映画のなかでジョン・トラヴォルタが言うこと成すことにつながる。ゆえに素晴らしい。

ラスト、対峙する「ぼくら代表」としての唯一の「争いごと」を経て、男としてどうしようもなく一皮剥けてしまった主人公。相棒と肩を並べる姿が様になっていて、胸が詰まりました。傑作!(★★★★)