アニメ・イン・ワンダーランド「カラフル」

観終わったあと、『そもそも実写映画とアニメ映画の違いって何なんだろう?』って考えさせられてさあ、ぼくはもちろんアニメの技術とかの知識無いからさ、ただ手法が違うだけで、目指す場所は同じなんじゃないのって思っちゃったんだよね。

例えば「ヱヴァンゲリヲン破」の最大の見せ場は、変形する第三新東京市エヴァが駆け抜ける場面だったけど、あの走り方はまるで実写さながらのアスリートだったし、海外CGアニメ「ヒックとドラゴン」の飛翔シーンは3D超大作映画「アバター」のそれと同等、いや迫力では実写を凌駕していたよね。

そーゆーアニメーションの映像云々に関しては「崖の上のポニョ」がアレだったけど、じゃあ、アニメ映画ってのは実写では難しい映像表現をやることで傑作足りえるのか?って言うと、「トイ・ストーリー3」のようにドラマ性で魅せてくるモノもあるから難しい。実写映画だって技術の発達でアメコミヒーロー映画が台頭したり、「ウォッチメン」のようなグラフィックノベル作品、ギレルモ・デル・トロポン・ジュノなど、まるで漫画の決め絵のように画面を緻密に計算してくる監督は多い。

原恵一監督の新作「カラフル」はとてもおもしろい映画だったんだけど、コレ『アニメとして』は一体どこを目指したんだろ?主人公の感情を画面の彩りや絵の置物、家族の風景を食事シーンで表現するのは実写映画でよく見る手法なのに、声優がいわゆる抑揚のある分かりやすい演技をしてしまっている。『現代社会は誰の目にも同じように映らない』という意味ならばアニメにした理由になる。けれど「カラフル」が描いた物語は誰に一番向けられたのか?大人を泣かせにきたというほど狙った感じはしないし、主人公と同年代の中学生に観てほしいといった熱意も伝わらない。かといって、いじめを受けている少年少女へ、との意志も他生徒の顔を黒くする描写だけなら、到底感じられない。

真が描いた「馬の絵」。あの馬を原恵一監督だとすれば、色んな映画があるのは嬉しい限りなんだけど、やっぱりアニメなら心躍るような映像か、もしくはポン・ジュノ作品にあるサスペンスなどの娯楽性が欲しい。そんな、原恵一監督のアニメ作品独自のカラーが、今後見られればいいなあ、と、そう思いました。(★★)