一代宗師『グランド・マスター』に惚れ惚れ

『グランド・マスター』感想。

ウォン・カーウァイ監督最新作。名前知ってるだけであまり見たことない監督さんだし、ジャンルとしても一番疎いほうだったんですけれど、いやはやこれがとっても気に入ることができました。最高!

目まぐるしい手さばき足さばき、高速/低速撮影を交えた緩急、肉体のぶつかり合いに水しぶきやガラスの破片、列車を背にして戦う格闘ステージ、すべてが武術の「型」のように美しく連動していました。アクションシーンだけじゃなく、合間の日常シーンにおいてもそういった映像表現が用いられていて、葉問(asトニー・レオン)の妻(asソン・ヘギョ)が見せる視線の外し方や「思う存分戦って」などの揺さぶられるセリフ、これらが視覚から入って全身に染み渡ってくるような感じ。上映中スゲースゲーと圧倒されっぱなしでしたね。

忘れ去られようとしているものに演者と物語で心血を与え、再び人へ想いを繋いでいく。映画というものが、記録を記憶に変えられるものだとしたら、この映画はひとつの到達点かもしれません。そんくらいシビれましたねぇ。何度かある写真撮影の場面からは「この映画をつくることで何かを遺したい」そういった想いを強く感じました。「すべて」と言ってしまうと食べ残しがあるように思えて仕方ないんですが(悔いのない感想なんて味気ないわ…)、気持ちとしては本当に「すべてに惚れ惚れ」ですね。特に選ぶとすればルオメイ(asチャン・ツィイー)のあの見下ろし!!いや〜本当に素晴らしかった。一級品の映画でありました。おわり