五月病も何のそので映画いくつか

『ブランデッド』感想。

DVDスルー新作。仕事も恋も順風満帆な敏腕マーケティングコンサルタントの男の人生が転落していくまでは「うんうん」てな感じでラクに見ていられるんですが、転落して田舎の牛飼いにクラスチェンジするあたりからは、ヘンな夢見て牛燃やすヘンな儀式するわ、人々の頭上にグニョグニョしたヘンな物体が見えるわで、なんじゃこりゃとしか思えなかったです。そのなんじゃこりゃ感がイイんですけれど、街でハンバーガーショップの看板見たらハンバーガー食べたくなっちゃったよーみたいな人の抱く欲望やそのハンバーガーショップに身も心も捧げて働いていますといった忠誠心がグニョグニョとした奇怪な物体で可視化されていて、それが唯一見える主人公が目には目をマーケティングにはマーケティングをと企業戦争に持ち込んでいく様子をしっかりお金かけて(かけたように見える!)グニョグニョが進化してガオーガオーしてギャー!っとやってくれるへんてこりんで面白い映画でした。


『7 DAYS リベンジ』感想。

DVDスルー新作。アバンタイトルの時点でかなり掴まされます。惨殺された娘の姿を「あ、見せてくれないんだ」と思わせるカットを何度か経由して、まず、主人公である父親の絶望を確定させてからパッと遺体を大写しにする映像センスがイイんですねぇ。医者である主人公が7日間かけて犯人に復讐、というよりは娘を失ったことを「修復」しようとしているように見えました。人体を熟知した医者による拷問描写は結構すごくて、横っ腹に第二の肛門をつくっちゃうのにはたまげました。しかし、犯人を痛ぶることで満たされるものは何もなく、拷問以外は何もうまくいかない。何のためにやっているんだというところで「遺体の姿のまま歩いている娘」の幻覚さえ見てしまう。その身体を綺麗に洗ってあげても娘は生き返るはずもない。同じ犯人に子供を殺された遺族のうち何人かは彼の復讐を支持し、世間も彼に同情的だが。同じ犯人の被害者のうちの一人の女性には厳しく批判される。子供の死を受け入れている彼女の存在は主人公には到底認められない存在だった。しかし、たびたび現れる子鹿の死体や強盗殺人により妻を失い葛藤する刑事に追い掛けられるというのは主人公が「娘の死」から逃れられないと語るよう。極めつけは、娘の連絡に気付けなかったことに自分たちのしていた行為=セックスが絡んでいることから、犯人に対して同じような憎しみを抱えながら夫に「協力すること」また「共犯関係」を築くことを拒絶してしまう妻。修復できるものは、もう何も残ってなかったんです。その無力感を丹念に描いた傑作でありましたね。


『ヒドゥン・フェイス』感想。

世界仰天ニュースあたりでやりそうないわゆる「大ネタ」が物語に仕込まれているエロティックサスペンス。去年の夏頃に劇場公開はあったみたい。面白かった〜。存分にニヤニヤさせてもらいました。野暮ったいセリフを抜きに「ひょっとして今ここでこうすれば…」と悪いこと考えてる女の顔がたくさん見れて素晴らしいし、その女に罵詈雑言を吐き散らしつつもそいつを頼るしかない女の欲望むきだしっぷりが最高でありました。またその争いの原因をつくったイケメン野郎の目の届かないところで女のバトルが繰り広げられるってのがイイなぁイイなぁひたすらにイイなぁと思いましたねぇ。


ジャッジ・ドレッド』感想。

リメイク版。最高。多種多様の銃弾を装備した銃が最高。人体破壊っぷりが最高。美女もいるしあとはおっぱいさえあれば最近足りていないポール・バーホーベン御大のアクションに通底するか?!といったところまで脳汁ブシャーな最高ムービーでありました。この映画を見たあとに思ったのが、来年に公開延期されたリメイク版『ロボコップ』の風貌があまりにダークナイトというかどう見てもジャッジしててコレジャナイというか何というか。どうなんでしょうか。


『ヒットエンドラン』感想。

レンタル新作コメディ。今年劇場公開されたときは『HIT & RUN』ってタイトルだったみたい。全然ヒットしなくてちょいと軌道修正したんでしょうか。まぁ、それはそれとして、映画はとっても面白かったです!主人公を演じたダックス・シェパードが監督/脚本もつとめ、彼の恋人役にはクリステン・ベル。ある事件をきっかけに二人を追い掛けるイカれたドレッドヘアー男にこういう役もやり始めた色男ブラッドリー・クーパージェフ・ブリッジスの実兄ボー・ブリッジスも出ています。ロサンゼルスへ向かうダックス・シェパードとクリステン・ベルの二人を証人保護プログラムの連邦執行官とクリステン・ベルの元カレと彼らのスピード違反を見つけた警官とイカれたブラッドリー・クーパー一味が追い掛ける。カーチェイスが見応えあるんですが、そのほとんどがオフロードで行われます。あっち行ったりこっち行ったりどうなるんだと楽しい映画で、最後には主人公が人生の軌道修正にチャレンジした映画だったんだなと思いました。ときには道なき道オフロードを突っ走らなきゃいけないのも人生。定められた枠を飛び出すのもまた人生なんですねぇ。スパイスのきいた傑作コメディでありました。おわり。