絶対に笑ってはいけなくなくなくない『モンスターズ・ユニバーシティ』

モンスターズ・ユニバーシティ』感想。

子どもを怖がらせて悲鳴を搾り取る「怖がらせ屋」で働いているモンスター達が、実は何よりも子どもを恐れているというユニークな物語と分かりやすい世界観。あと、モンスターたちのシンプルなデザインがとっても好きだった前作『モンスターズ・インク』(2001)。12年経って続編/前日譚がつくられました〜。面白かったです!

テーマは「固定観念」。捕まったらアウトという固定観念に囚われているから相手に気付かれぬようゆっくり動いてしまう。それは「捕まらなければいい」というルールに怯えて自分で枠を狭めているんですよね。例え気付かれたとしても「捕まらなければいいんだ」という捉え方を発見してからの躍動感がイイです。あの発見の瞬間にある“ワクワク”のことをきっと才能と呼ぶんだと思います。けれど、その発見がなければルールを破ってしまうか競争から脱落することになるし、最悪の場合、負けを恐れてズルをすることになる。この映画はそういったことを描いていました。

「怖がらせ屋」だからといって「怖い」必要はない。怖がらせ方を分かっていればいい。マイクが教科書以外にどこでそのテクを覚えたのかは気になるとこではありますが、これは、生身の「役者」を使わずに「アニメーション」で表現することを生業とし、10数年前にアニメーション映画で“大人をびっくりさせた”ピクサー自身の前日譚のようにも思えるんですね。ピンクやハート、あとはお菓子のようなポップで可愛いものは「ダサい」とされる世界。前作のラストは物語の逆転であると同時に「モンスターは怖がらせてなんぼ」という固定観念をも取り払ったんですねぇ。憧れていたものに追い付けなくても自分にある可能性を信じること。また、誰かの可能性に気付いてあげられること。そういった大切なことを真っ向描いた作品でありました。スピンオフでも続編でも何でもいいからまたこのシリーズが見たいっ!おわり