今日の日はさようなら『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンドオブザワールド』

前篇には、巨人のキモさ、エレンの漢気、エレン・アルミン・ミカサの関係、エレンゲリオンのカッコ良さ、バトルロワイアル感、石原さとみの突き抜けたキャラクター演技と、さまざまな面白さが詰まっていたけれど、この後篇は、石原さとみの唇、石原さとみの素顔、石原さとみの突き抜けたキャラクター演技と、原作で一番盛り上がった女型の巨人パートが無い代わりにコイツで手を打とう!といった交渉でも迫られているかのような進撃の石原さとみっぷりであった。

ただ、たまにはダメだったときの感想も書こうという気にさせてくれてこうしてブログ更新に勤しむデトックスにはなっていることを始めに書いておく。

とにかく、物語に説得力が無い!何をするにしても「?!」がつきまとう。前篇は単純明快で良かったんだ。巨人の侵入を許したあの日から2年。エレンら一行はそれぞれの理由こそあれど、巨人の入り口になっている壁の穴をふさぎにいく作戦に参加し、その中でミカサと再会したり、仲間を失ったりする。クライマックスで現れるまだ見ぬ巨人。さぁ、これから一体どうなる!というのが前篇。単純明快このうえない。面白かった!

しかしこの後篇ときたら、キミは人間か?それとも巨人か?といった理由で囚われるエレン。オレは人間だろ?の問い掛けに戸惑いを隠せない仲間たち。そして現れる鎧の巨人!エレンがさらわれてしまった!さぁ、第二部の幕開けだ!と、ここまではイイ。雲行きが怪しくなるのはこのあとからだ。

何やら白いキューブのような部屋でシキシマ隊長からシンジ君・ミーツ・カヲル君よろしくうんぬんかんぬん諭されるエレン。何となく仲間になってしまうエレン。ううう、BGMの音楽の意味とか語られるのはツラいがまぁいいよシキシマ隊長がツラいのは今に始まったことではない。それ見ろ!石原さとみがまた兵器ににゃんにゃんぺろぺろしてくれるではないか!いいぞいいぞ。みんな仲間になって、真実とやらに立ち向かうのだ!と、チョットマテ。シキシマ隊長、そんなこと聞いてないって言われてるけど?エレンがさ、聞いてないよって。え、お前なの?ひょっとして鎧の巨人はお前なの?えええ?それ、さっきの白い部屋で話しておいてよくない???何のためにエレンをさらったのさ?って、ちょいちょいちょーーーい!そうこうしてる間に怪力くんが死んだよ!!!しかも何この死に方?!アルミン、なにその作戦?!っていうか、対人兵器の銃で狙われてるなか、どうやってそこまで移動したん?!そういうの気にしちゃダメ?!え、なにこれなにこれ!石原さとみを生かしておく伏線が無駄に上手い!!!

そして流用される前篇の遺産たち。「不発弾!」しかり「顔面ニーキック!」しかり「子持ちは、イヤ?」しかり。たった87分しかないんだから、フラッシュバックなんか入れてくれるな!だいたいあんだけボコボコにやられたあとに何で格下を倒した技の顔面ニーキックが通用するんだ。それと、あの穴をふさぐにはどうすれば……なんてとこで物語が停滞してる場合じゃないだろうに。巨人の正体が人間!っていうひとつの真相が明らかになったんだから、任務そのものに疑問を抱くでしょうよ。てか、その真相があまりにサラリとやられすぎてて、どのキャラクターにどこまで伝わってんのかわかんないよ!「ミカサは知ってたのか?」「知ってた……でもまさか…」その続きを喋らせろ!!!

「この時を待ってた!」ってクライマックスバトルを盛り上げるセリフのようにいわれるけど、この映画そんな話だったっけ?超大型巨人への特別な感情なんて、誰か持ってたっけ?もう何をやるにしても「?!」か「?」が頭に点灯しちゃってホントについていけない。今年は同じく前後篇の漫画原作映画『寄生獣』が面白かったし、何よりパート1が楽しかったから、前評判が今週のダメダメだろうと何だろうとこの目で見るまでは期待していたけれど、見事に打ち砕かれました。石原さとみは終始良かった。彼女を見ているだけで愉快な気分になる。なんか最後のほうは趣味プレイみたいになってて当事者なのかどうか怪しかったけれどそれでも彼女は楽しませてくれた。でも、求めていたのはそれだけじゃない。見終わって、これぞ映画版ならではの進撃の巨人!と、清々しく言いたくなるような気持ちになることを求めていた。残念ながら、そうなることはなかった。エンドロール後の更なる展開を思わせるやつなんてもう血反吐ものだ。なーーーにが被験体だ!そうか!これは何かの実験か!撮影直前に前後篇にすることが決まったらしいから、観客にはわからない某かの事情があるのだろう。ダミーシステム!そう、ダミーシステムのようにコントロール不能になってトウジを八つ裂きにするシンジ君の気持ちになればいいのだ!どうなってるんだよ父さん!こんなのってないよ!!!