「ジェネラル・ルージュの凱旋」

海堂尊の人気小説。小説では第3弾となるが、映画では第2弾。社会現象となった原作は、当然の如く未読。そのうえ内容と評判が耳に入っており、先入観が生まれてしまっている。もう読まないほうがいいだろう。ドラマ版に至っては1秒たりとも観たことがない。

前作「チーム・バチスタの栄光」は竹内結子の「癒し系すっとぼけ演技」と、阿部寛の「衒学的クス笑い演技」が、「TRICK」の山田と上田にしか見えず、緊張感あるはずの内容から緊張感が消え、ユル〜いサイコサスペンスとなってしまった。

しかし、本作は違う。何が違うって単純に「面白い」のだ。田口と白鳥は前作以上に山田と上田なんだけど、これが緊張感ある劇中のスパイスになっていて、堤幸彦が監督していたらと思うとゾッとするほどの絶妙さ。脇を固める國村隼野際陽子も、ご意見番のような魅力が出ていて面白い。

特筆すべきは何と言っても堺雅人。彼の人を見透かしたような表情と、掴み所のない雰囲気が生み出す緊張感こそが、前作にはない魅力だ。倫理委員会場面での独壇場と、阿部寛とのプチ丁々発止なやり取りはかなり面白い。救命場面が「凱旋」と呼ぶには急ぎ足すぎるのと、前作の田中直樹のような安直な殺人事件と余計な恋物語は気に掛かるものの、十二分に満足することができた。

堺雅人佐野史郎玉山鉄二らにお辞儀をするシーンが、シリーズモノならではの面白味。来年は是非オリジナルストーリーでやってほしい。(★★★☆)