「ウォッチメン」

待ちに待った超期待作をついに鑑賞!期待通りに非凡な映像センスを魅せてくれたザック・スナイダー監督。期待以上の映像表現で彩られた163分間は眼福ものでありました。

1秒1秒に原作の1コマ1コマを感じさせる素晴らしい再現度。多用されるスローモーション1っ1っが、まるで絵画のように芸術的。コメディアンがガラスにブチ当てられるシーンは何度見ても爽快だ。なんだか吸い込まれそうになる。ローリーが炎に巻き込まれるシーンも快感。彼女には脚線美とか曲線美とか、まぁ、所謂エロスで興奮させてもらった。

物語は若干変更されているものの、十分納得できるまとめ方だ。むしろDr.マンハッタンの虚しさが増しているかも。憎しみや怒りを原動力に、妥協することなく正義を貫くロールシャッハの末路が切ない。これはコメディアンにも言えるかも。

改めて面白いと思ったのは、「ヒーロー」たちの人間性。自警市民なんてものをやっちゃってるんだから当たり前だけど、とにかく「普通」の人がいない。ダニエルが「昔に戻りたい?」とホリスに訊くと、少し戸惑いつつもホリスが「いいや、御免だ」と答える。ありゃ絶対嘘だろうな。本当はナイトオウルのコスチュームを着て、自慢の左フックを振り回したいんだ。

偽りの平和を完全に否定することができないのは、本当の意味での平和なんて人類史上に一度も無いからかもしれない。今年指折り間違いなしの傑作だった。何やらディレクターズカット版もあるらしいので、ウォッチメンからまだまだ目が離せない。(★★★★☆)