「ザ・バンク -堕ちた巨像-」

監督が奇作「パフューム ある人殺しの物語」のトム・ティクヴァだったので、変わった作りなのかな?と思っていたけど、なんてことはない。実に正統派なクライム・サスペンスで、至って凡庸な映画だった。変わった作家性の監督がつくる正当派作品はあまり面白くない。

宣伝文句にされている美術館での銃撃戦。螺旋状の建物を舞台に銃を撃ちまくり、美術館に見立てたセットの壁を穴だらけにしてしまう。これが、アクション映画を撮ったことがない監督のアクションシーンという感じで、大した迫力が無い。銃弾の嵐のなかをへっぴり腰で駆け抜ける姿に失笑。筒抜けになった天井は何のメタファーだったんだろう。

んで、内容。孤軍奮闘な主人公が無謀にしか思えないのと、暗殺者が空港でいちいち義足をチェックされていて、そこから足が着くという駄洒落にしか思えない部分がいただけない。

こんなご時世だから、あのラストには重みがあるのかもしれないけど、俺には何の面白味も感じられなかった。個人の無力さよりも、個人の可能性が見たいんだよね。クライヴ・オーウェンナオミ・ワッツも好きなだけに残念。(★★)