「GOEMON」

CASSHERN」の紀里谷和明監督の5年振りの作品。前作を「才能に溺れ沈んだ作品」だとすれば、本作は「溺れて岸辺にたどり着いた作品」。はい、意味不明ね。いやはや紀里谷監督は自ら出演してまで何を目指したんだろう。まったく近頃の天才の考えてることはわかりませんねぇ。

舞台は戦国時代の仮想日本。パラレルワールド的な滅茶苦茶な設定で、紀里谷監督のセンスが大爆発した異空間。これはこれで前人未踏だと好意的に捉えれば面白いし、物語も説教セリフと過去パートは冗長なんだけど、「人間の所業」というテーマでそれなりに起承転結はできてる。役者も若干名を除き適材適所な感じ。と、まぁ可もあり不可もありという印象だなぁ。冒頭の盗み場面の衣装が「怪傑ゾロ」。タイトルクレジットが「E.T.」。白い兵隊が「ストーム・トルーパー」にしか見えなかったのはきっと俺の問題なんだろう。

んで、注目の映像面なんだけど。実写映像とCG映像の融合が成されていたのかどうかは、アニメやゲームに詳しくない俺からすれば「よくわかりまへん」としか言えない。ベクトルがあまりに異質なので本当にわからないんだよね。とにかく人も物も木っ端微塵にしていくんだけど、「大迫力!」「大興奮!」とは思えなかった。馬に跨った五右衛門がバーッ!と人を蹴散らすとこなんか、「アラレちゃん+暴れん坊将軍」かと思ったよ。ん?それ超おもしれーじゃん!!

違和感があったのは、あれだけ超人的な跳躍力があるのに殺陣があまりに普通すぎることと、言葉では理想を語っていても戦の場面では問答無用に斬り捨てちゃってるとこ。「なーんてね」のとこで「るろうに剣心」の剣心みたいに「不殺」の誓いでも立ててるのかと思ったら、玉山鉄二を「悪・即・斬」してしまうからね。あ、腕だけか。あとチェ・ホンマンの殺し方には流石に笑ってしまった。高橋克典に続き大変ですね。

もしかしたら海外進出を狙ったのかもしれないけど、この不況とこの出来じゃ厳しいだろうなぁ。予算100億円の紀里谷ピクチャー見てみたいけど。(★)