「フィッシュストーリー」

伊坂幸太郎の同名小説を映画化した中村義洋監督の最新作。同じコンビの映画「アヒルと鴨のコインロッカー」を観たときも思ったが、伊坂幸太郎原作の映画を観ると原作が読みたくなる。「これは映像よりも活字のほうが楽しめるんじゃないか?」と強く思ってしまうのだ。それだけ映像化が難しいんだろうけど、2時間の映像作品として見るとなんだか違和感がある。この違和感を払拭するために原作を欲するのかもしれない。

2012年、巨大彗星が落下して地球が滅亡するまであと5時間。「アルマゲドン作戦」も失敗した。ゴジラの体長の倍の津波が日本を飲み込む。という小ネタを挟んだ設定が物凄く面白い。事前知識は「フィッシュストーリー」という曲の話ってだけだったので、これには面食らった。俺の心にディープ・インパクトである。てか日本人ってこーゆー滅茶苦茶な絵空事を語らせたら世界一なんじゃないかなー。

ただ「おっぱいバレー」もそうだったけど、最近あの世代のネタを扱った作品が多すぎる。どれもこれも作り手の自己満足感が強くていまいち受け入れがたい。個人的にしっくりきたのは「グミ・チョコレート・パイン」だけ。物語が面白くて役者も良いのに「なんだか雰囲気が心地良くない」ってのはかなり不思議な感覚。ジェネレーションギャップというやつですかねー。

「世界最強のコック」を演じた森山未來。彼の幼少期はまさに!っていうパロディも見てればなんとなーくわかるんだけど、楽しむはできなかった。やっぱツボじゃないからだろうなー。この手の映画を楽しむには作り手と同世代じゃないとなー。と、映画と価値観が共有できず、メンズデーでオッサンばかりいる館内でなんだか物思いに耽ってしまうのであった。

世代を超えた物語で、世代間の溝に嵌ってしまったわけだが、興味津々の物語なので全く退屈はしなかった。FISHSTORYがホラ話とは知らなかったなー。鑑賞後に味わい深さがでてくる物語でした。(★★★)