「PARIS(パリ)」

セドリック・クラピッシュ監督の新作。なんでこの時期にこの映画が上映されてるのかよくわからんが、監督の前二作が共に好きなテイストだったので、上映終了1週間前となる今日慌てて観に行った。シネコンに慣れてしまってるので自由席だと若干困ってしまう。あたふた右往左往してしまったわ!基本的に最後列の端で観たいんだが、同列とその前に先客がいたのでかなり前方に座ることに。あんなちっちゃなとこで観たのは久しぶりでワクワクしたけど、首が痛いんです。

んで、映画。題名からしてオムニバス映画っぽいのかな?と思っていたらそうではなく、なかなかコジャレた群集劇だった。洒落ていると言ってもパリ「らしい」オシャレ映画ではなく、映し出されるのはパリで暮らす人々の等身大の姿だった。大きく3っのパートに分かれていてそれぞれの男女がなんとも人間くさく描かれる。登場人物のなかで印象的なのはやっぱりジュリエット・ビノシュ。「Sway」で踊る場面には釘付けにさせられました。久しぶりに観たけど相変わらず良い味出してます。

しかし映画自体は何とも微妙だった。メインパート3っに加え、ジダンのユニフォームを着たカメルーン人がいる。あれがちょっと蛇足気味だ。物語が進行するのも中盤からなので存在を忘れかけた。「パリの多様性」を出したかったのかな?にしてもあまりに短すぎて強引だ。あと映画に付きまとう「死」も気に入らない。ロマン・デュリスの台詞がどうも説教じみてて聞き苦しかった。夢と憧れを抱く街パリで描かれる鬱積した人間模様なんだけど、別に「死」までは見たくなかった。

それと人が多すぎ。把握するのにやたら時間がかかってしまった。小エピソードとなるエリーズの同僚とかパン屋の女とかさりげなく再登場するナンパした女とか、数回出るならもう少し絡んできてほしい。話としては一番面白い教授と女子大生の顛末も消化不良気味。弟の絡みが甘い気がする。市場の男二人も同じ心情で同じことするんだけど、直後に年配のほうがエリーズとメイクラブする。よくよく考えてみると意味不明な行動だ。あと事故死とかファッションショーとかは余計だった。

面白くなりそうなとこで何度も違う場面にいかれてしまい、なんだか焦らされてる?と思ってしまいました。大人の街なんですね、パリ。(★★)