「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」

ついに公開されたヱヴァンゲリヲン新劇場版の第2部「破」。いや〜凄かった!「まさか!?」と思いつつも「これが見たかったんだ!!」と思ってしまうような、驚きと納得が同時にやってくる意外性の連続!!あぁ、天才っているんだなぁ〜と思いました。驚いたのはやっぱりアスカが3号機に乗ることとその理由、レイがセッティングした食事会のためにアスカが一肌脱ぐとは…お見逸れしました。それと同時にトウジではなくアスカであるおかげで、シンジの絶望に加えレイの変化も促せるわけで…うんうん納得。この変更は本当に素晴らしかった。


「序」で感じたレイが「人間くさくなっている」ということの意味がわかった。レイだけではなくアスカもデフォルメされていたからだ。もともと打たれ弱いアスカだったが、新劇場版のアスカはとにかく脆い。登場するや否や人形との会話で弱さをさらけ出し、ヒカリにたじろぎ、シンジに縋りついてしまう。この脆さは何だと思っていた矢先に非常にベタな三角関係となる。このとき所信表明にあったように「サービスに徹している」ということに気付かされた。明らかに変わっているのによりアスカらしく、そしてよりレイらしく見えるのは何故か。それはきっと「見たかった」からだろう。


「見たかった」といえば、俺はエヴァンゲリオンに好きなキャラがいなかった。強いてツボと言えば「高慢なアスカ」と「カヲルの雰囲気」くらいで、単に一風変わったロボットアクションとして見ている節もあった。しかし、その心残りは開始1分で払拭されてしまった。新キャラクター、真希波・マリ・イラストリアスである。久しぶりにビビッときたぞ。アスカの尊大な部分と、カヲルのミステリアスさを足したような存在感が「俺のためか」と思うほど見事に調和されていた。あまりにもツボな声と言い回し、髪型や髪の色、そしてあのメガネ。彼女を見るためにあと何度劇場へ足を運んでしまうのだろうか。


「誰のためか」といえば、カヲルが言っていたように、これは「シンジのための物語」だ。エヴァンゲリオンとは福音であり福音とはシンジがもたらすものなのだろう。簡略化ともいえるサービスデフォルメはシンジに対してはさほど及んでおらず、あくまで周囲が変わっているからシンジも変わっているように見える。シェルターで「乗りたくない」と踞っているときに手を差し伸べてくれる人物は旧シリーズではいなかった。だが、新劇場版にはマリがいた。彼女は「ふーん、そんなことで悩む奴もいるんだ」という驚きの発言でシンジを連れ出す。あれこそがエヴァの世界を覆した瞬間だ。


そんなこんなでいよいよ見えてきた新世紀のヱヴァンゲリヲン。次回「Q」に期待するのはもちろん!急転直下のサービス、サービスゥ!(★★★★☆)