DVDで「ラースと、その彼女」をみた。

ぼくはラースほど人が苦手ではないけれど、彼が他者と関わり合うために、たぶん無意識に選んだ「ビアンカ」という方法には心動かされました。どう取り繕っても普通の行動ではないし、案の定すぐに病人扱いされちまうんだけど、やがてそんなラースをみんなが受け入れるようになる。その光景は自分でも驚くことに「嫉妬」さえ抱くほど微笑ましいものだった。変人の純粋さが伝わるときほど素晴らしい瞬間はない。

ラースを演じたライアン・ゴズリングがとてもいい!彼を見た瞬間一気に引き込まれてしまいました。ビアンカと出会うまでに周囲との関係を丁寧に描いてくれて、いざ急展開するときにはパッとあっさり切り替わるのもよかった。兄のぎこちなさには笑かされました(笑)ラースは一歩間違えばイライラしてしまうようなキャラなんだけど、どこか憎めない雰囲気を醸し出していて、男なのに母性愛を刺激されてしまった気がします。

そんなラースを支える周囲の人々も素晴らしかったです。特に女優陣。まずエミリー・モーティマーが文句なしに可愛い!彼女のどこかあどけなさが残っている感じがツボです。額のしわさえもキュートに見えてしまい、いくつになってもあの可愛さは残るんだろうなぁと思いました。あとは女医役のパトリシア・クラークソン。なんだか髪を妙な編み方しているんだけど、彼女の一言一言にはあたたかい優しさがあってとてもよかった。まずみんなラースを軽蔑せずに理解しようとするんですよね。

とにかくこの設定で上品に描ききってくれたのがいい。脚本が女性ということもあってか、ほとんどが女性から見たラースという視点で描かれていて、その可笑しさと愛らしさがとても気に入りました。ただラストで「決別」するところは、もう少し彼一人のシーンが多めに欲しかったかなぁ。同僚の子と結ばれるのは微笑ましいけど、ラースが受け身すぎるせいか彼女の健気さばかりが出ていた気がします。

最近、人と人との触れ合いを描いた映画が多いなぁ。まぁ何にせよ、心がほっこりあたたまるとても可愛らしい「愛すべき作品」でありました。冬に劇場で観たかった!(★★★★)