甲子園に感動しながら「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」

甲子園の決勝をみた。日本文理の追い上げに感動した。この夏は彼らにとって一生の宝になるんだろうなぁとありきたりなことを考えながら、もうひとつ考えていたことがある。先日昨年の大傑作「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」をDVDでみたことだ(笑)あれはたぶん3回目の鑑賞だったと思う。本作は残念ながら栃木では上映されず、スクリーンで観ることができなかった。しかし観るチャンスはあったのだ。そしてぼくはそのチャンスを「逃した」ことをずっと後悔している(苦笑)というのは、昨年5月に大宮へ木村カエラのライブを観に行ったときのこと。ライブ前の空き時間を利用して、さいたま新都心のMOVIXに寄ったところ、なんと本作が上映されていたのだ!劇場の外にある本作のポスターと「公開中」の文字を目にして、ぼくは心底悩んだ。一人なら1800円でも3600円でも迷わず支払って突入するところだが、困ったことに「映画に興味がない彼女」を同伴していたのだ。しかも残酷描写がひどく苦手な可憐な乙女を、だ、、、。

そのうえ当日は「木村カエラのライブ」というキッチュでハッピーな名目があった。ぼく自身も木村カエラは大好きなので、果たして彼女のライブ前に本作を観るというセレクションはいかがなものか?と悩み果てた。映画についての事前知識はまずアカデミー賞受賞作であるということと監督はポール・トーマス・アンダーソンであるということ。内容は全く知らなかったので、もしかしたら可憐な乙女の彼女を連れても大丈夫なのかも、という迷いが生まれた。しかし「ゼア」という見慣れないカタカナが組み込まれた題名や、展示してあったダニエル・デイ・ルイス肖像画のようなポスターからは、とてつもなく陰鬱な印象を受け、何やら近寄りがたいオーラさえ感じたので(笑)結局、その後のライブと彼女に配慮して気楽に時間をつぶすことを優先した。選んだ作品は当時地元でも絶賛公開中だった「ナルニア2」、、、。まぁナルニアシリーズは案外好きなのでナルニアに罪はないよ、うん(泣)

そしてその可憐な乙女とは5年の時を経て破局済み(笑)まぁ、そんな痛々しい過去を悔いながら鑑賞した本作ですが、母なる大地から湧き出るミルクシェイクをズズズズーッ!と飲み干す快感が味わえる大傑作で、「嗚呼、人間ってほんと最高!」という深い充足感に浸りながらデレーッとソファーに寝そべりながらエンドロールを眺めていると、「ロバート・アルトマンに捧ぐ」という文字が。その瞬間「ハッ!しまった!忘れてた!」と飛び上がり、スネをテーブルにゴツン!(笑)ぼくはPTA監督が大好きなくせにアルトマン作品を観たことがないというアホだったので、本作を初めて観たとき「すぐ観なければ!」と思い立った、、、ことを思い出したのだ。すぐに友人の協力を仰ぎ最寄りのTSUTAYAで在庫検索をしてみたが、在庫なし、在庫なし、在庫なしの嵐。ついには県内のTSUTAYAには近作以外のアルトマン作品は置いていないことが判明した。

詳しいことはわからないが、まぁそんなもんだよな栃木、と諦めていたが一応県外のTSUTAYAでも検索してみた。すると「さいたま新都心店―在庫○」の文字が。それを目にした瞬間、PC画面にかぶりつかんばかりの勢いで身を乗り出してしまった。まさかこんなところで、あのカエラライブの後悔がフィードバックされるとは!!!と単なる偶然に大興奮。まぁTSUTAYA以外のレンタルショップなら置いてあるかもしれないが、他にも観たかった作品がたくさん置いてあったので近々行ってみよう!と決意したのであった。

その翌日、地元のサンライズというレンタルショップにフラフラッと立ち寄ると「ザ・プレイヤー」と「ショートカッツ」が新入荷されていた。「ブハッ!」と盛大に吹き出しながら即レンタル。母校である作新学院は残念ながら1回戦敗退だったが、栃木のミルクシェイクもまだまだ捨てたもんじゃない!と思った夏の終わりでありました。