「ファイナル・デッドサーキット 3D」

「死の連鎖」から逃れるために何とかかんとか頑張る映画。1作目『ファイナル・デスティネーション』はまずそのアイデアが斬新で面白く、死ぬ順番こそわかってはいてもじわじわと迫り来る確実性とその「達成感」が丁寧に描かれた傑作だった。邦題がアレレな2作目『デッドコースター』も1作目に比肩する代物で、経験者がいることからその運命から逃れようとする必死さがカタルシスに繋がる。しかしそうきたかという邦題の3作目『ファイナル・デッドコースター』はややレール変更した感があり、凡百のつまらない映画に属することはないものの、ティーンムービーに毛が生えた程度のものになってしまった。

そしてシリーズ4作目となる本作は3D上映。アニメ作品のときは「おぉ〜」くらいにしか思えなかった浮き出る飛び出るの映像が、この映画の場合「うわっ!」と思わず防御姿勢を取ってしまうほど楽しい。なんてったって飛んでくるのが人様の肉片や当たったら痛そうな危険物ばかりだ。これは3Dとの相性抜群なんじゃないか?と思えるほどアバンタイトルは素晴らしいものだった。

しかしこのシリーズはいつも尻すぼみ感が否めない。本作も同様でいつもより人数が少ない上に「フェイント」があまり無いため、死神側に都合良く進みすぎている。3D映像も冒頭こそふんだんに用いられていたが、終盤にいくにつれて弾切れを起こしたかのように減っていく。つまりは飽きてしまうのだ。主人公の孤軍奮闘を見ていて「冴えない男の子がヤリチン野郎から美女を奪う」お約束をぶち込んでほしかったなぁ、と思ったんだけどそれこそ飽きるか?

面白かったのは「自殺できない」こと。ということは自分の前の奴が死なない限りは無敵なのか?それならやりたい放題じゃん!とあらぬ考えを巡らせてしまった。あとはハントの死に方。とにかく彼の扱いはあまりに冷徹で笑えるものだった。いなくなってから誰一人気に掛けることがない。あの死に方と冒頭のタンポンが本作の頭の弱さを物語っているのではないか。最大の不満はラストのテーブルに書いてあった文字。「It's Coming」の下は何だったんだ?見逃してしまった。

ファイナルと言い続けて4作目。きっとまだ出来ることはあるはずなので頑張ってほしいです。ただ声優に意味不明なタレントを起用する連鎖だけは断ち切りたいね。(★★★)