「バットマン:ダークナイト」

発売日に買ったくせにやっとこさ復刊された伝説のアメコミ『バットマンダークナイト』を読み終わった。いや『ダークナイト・リターンズ』の方はすぐに読み終わっていたんだけど、併録されている『ダークナイト・ストライクス・アゲイン』のほうがサッパリなもので、なかなか読み進めずにいたとです。『ダークナイト・リターンズ』の時点でスーパーマンが登場していたのでレックス・ルーサーまでは大丈夫。けどその他にフラッシュとかグリーンランタンとかスーパーパワーを持ったキャラがわんさか出てくるので、予備知識の無いぼくはお話についていけなかったのです。それに絵も、、、。

ここまで意気消沈したのは『ダークナイト・リターンズ』があまりに凄まじいものだったからで、ちょっとこの衝撃は言葉にすることができない。だってスーパーマンですよスーパーマン!もちろん他にも口をあんぐりしてしまうほどスンゲーことがたくさん起きてるんだけど、ぼくが一番興奮したのはやっぱり最後の大一番。異星人がゆえにクリプトナイトという弱点があるにしろ、その際限の無さはもはや折り紙付き。尊大に反り上がった顎と屈強な肉体に赤と青の威光が加味され、厚い胸板に主張される一文字が何とも頼もしい。まさにアメリカナイズの体現者スーパーマン。そんな彼も今や国家派遣社員に成り下がり、事あるごとに戦地へ赴き、世のため人のため米のためせっせと働いていた。

一方、バットマンを辞めて10年のブルース・ウェイン(55)はその老いた肉体とは裏腹に未だ衰えぬ自警の念に葛藤していたが、自分に嘘をつけずに再び闇を纏うことに。しかし生身の人間がゆえに「闇の騎士」ではなく「病み上がりの騎士」と成り果ててしまったバットマン(55)は「今の私は30代だ。いいや20代だ。」などと自分に言い聞かせるが、皮肉なことに体も嘘はつけない。二言目には筋肉痛だの心臓病だのと弱音を吐き、事あるごとに瀕死の状態まで追い込まれてしまう。アルフレッドには「歩く集中治療室」と揶揄される始末。

そんなバットマンが命を賭してスーパーマンに戦いを挑むことになるんだけど、もちろん正攻法では勝ち目がないので様々な仕掛けを駆使して鋼鉄の男を追い込んでいく。切り札であるクリプトナイトの矢で弱らせたら一気呵成に攻め立てる。しかしその攻撃は一転して力業に。ひねくれた少年を諭すように、殴る、蹴る。ねじ曲がってしまったナショナリズムを正すために、殴る、蹴る。そして、力、尽きる。この超ド級バトルにぼくは気絶するほど興奮した。

「この星は、お前ら二人にゃ狭過ぎる」。こんな台詞言ってみたいし言われてみたいよ。かっこよすぎる!!