「ソウ6」

本編開始前に「SAW集編」という題目で過去5作品をざっくりと説明してくれるダイジェストがあった。3作目の時点で復習が必要な流れだったので、やや今更感はあるけれど、復習なんぞまずしないぼくのようなイベント気分の客にとっては親切なものだった。何よりそのおやじギャグ的なネーミングがたまらない!せっかくなのでシリーズ全部の感想をサクッと書いておこう。

『ソウ』
この作品ほど悔しい思いをした映画はない。鑑賞後と鑑賞前では『SAW』というタイトルの印象がかなり変わるのが凄い。「〇〇を見た」の他にゲームに参加させられた人物たちが過去の自分を「省みる」というように多重の意味があるのも良い。今ではB級ホラー映画の代表格。(★★★★)

『ソウ2』
2作目は友達に映画の核心部をバラされての鑑賞となったが、更にそこに「テスト」という仕掛けもあったので十分楽しめるものだった。しかし何が驚いたってアマンダがかなり老けていたことだけども。注射針地獄は未だにナンバーワンの仕掛け。(★★★☆)

『ソウ3』
残酷描写が無駄に過激になり始めたのがこの頃。劇場で大多数の観客が顔を背けていたのをよく覚えてる。ゲームも「チョイス」の色合いが強くなってやや様変わりしたのは良いんだけど、続編に色気を出し始めたのはいただけない。(★★★)

『ソウ4』
3作目と平行して描かれる4作目。ぼくが嫌いな映画のつくりに「実はあの時こんなことしてました」というのがある。とにかく説得力を高めようという作業に終始していて退屈。シリーズ中唯一のDVD鑑賞。(★★☆)

『ソウ5』
ジグソウの後継者がいるという物語だけども、1作目だけでもシグソウが良いキャラクターに仕上がってるので『ジグソウ3部作』『後継者3部作』ってな構成にしてほしかったなぁ。5作目にしてついに虚脱感を味わわされることに。(★★)

そして本作品が6作品目となる『ソウ6』ですが、弱者に対して「死」を宣告してきた保険屋の因果応報といった流れは悪くない気もするけど、まさかこのシリーズに社会問題を織り込んでくるとは…。そのせいかジグソウの独り善がりな台詞に青臭さが漂っていた。それとやっぱり「後継者」の話がつまらない。一応伏線の回収はしているものの、さすがに飽きてきた。何かにつけて「ジグソウの遺志」と言うが、なんだかこじんまりとしてて大事件には思えなくなってしまった。

1本の質としてはシリーズ最下位だけど、次作では熾烈な「SAW奪戦」が見れるのかもしれない。それは是非とも観たいのでまた来年!(★★)