DVD「レイチェルの結婚」

アン・ハサウェイ演じる主人公キム。施設帰りの彼女が抱く「疎外感」は切実なほどリアルなものだった。さらにそれを引き立たせるために全編に渡り用いられたデジタルカメラでの撮影。これが嫌味なくらい大正解で、現実にも確かに存在する歪で暗い感情と、キムの一挙手一投足が瞬時に場の空気を濁していく様を臨場感たっぷりに味わえる。

すでに関係が崩れてしまった家族に訪れる「結婚」という変化。一般的には家族が増える「めでたい行事」のはずが、それぞれが抱く感情が後ろめたいものばかりなので、この映画のそれは陰鬱ですらある。日常に潜む目を背けがち若しくは目には見えない感情を見事に切り取った作品でありました。それにしてもアン・ハサウェイは良い女優になったなぁ。(★★★☆)