「スペル」

地元のシネコンで300人くらい入る箱で鑑賞したのだけれど、平日の夕方ということもあってか客はぼくを含めなんとたったの3人。これは今年の劇場鑑賞ではワーストだ。ロッテントマトの支持率なんかも宣伝されてるけど効果なしなのかなぁ。やっぱりこーゆー映画は周りの反応も楽しみたい。いくらなんでも100分の1ってのは萎えます。

まぁ何にせよこの映画、「ホラー映画史上最恐」と謳われているだけあって、その発狂具合は凄まじく、かなり楽しめるエンターテインメント作品に仕上がっている。冒頭の悪魔祓い失敗が鳥肌が立つほど快調な滑り出しで、思わせ振りなセリフがのちに「男の子じゃなくてそっちか!」とツッコミポイントにもなる。あの執着心には驚いたけど、何年も待っているだけなので、主人公クリスティンとあの婆さんのそれには遠く及ばない。

とにかくバトルを繰り広げる2人が強烈。どちらかというと婆さんのほうが自業自得なので、クリスティンにとっては理不尽極まりない受難劇だ。しかしクリスティンはその理不尽に対して、手に入りそうな「リア充の威信」をかけ、どんどんと胸元をはだけながら挑んでいく。ぼくはそんな彼女に心底感心してしまったので、とびっきりのエールを送りながら鑑賞していた。ところがラストの予測がついてしまったとき、そのキャラクター性の勿体なさとこれ以上ない不条理を感じてしまい、気分はまさにDrag Me To Hell。

クリスティンに入れ込んでしまったせいか、どうも彼氏は不要に思えた。類型的とはいえよくまとまっていたとも思うんだけど、はじめから「彼氏」とするよりは「憧れのあの人」くらいにしておいて、彼に振り向いてもらうには次長の座が必要で、「だから」どんなリスクだってスペルだって負ってみせる!のほうが際立つし、最後はそんな彼の「親切心」で、、、。としてくれたほうが絶望感がよくてぼくはしっくりくる。この映画のラストはどうも凡ミス感が強すぎる。にしても、あの「ダンス」は素晴らしい。最高に愉快な映画でありました。

最後にクリスティン役のアリソン・ローマン。とても30には見えない!年齢を知って、子供じゃないんだからスペル○攻撃もありだったのでは?とか思ってしまった。はい、ちょっくら地獄に堕ちてきまっす。(★★★★)