「Disney’s クリスマス・キャロル」

ロバート・ゼメキス監督によるCGアニメ作品。はじまってから「そういえばそうだったなぁ。」と思い出したのだけど、このシリーズ?には俳優の顔そっくりのキャラクターが登場し、声優も本人の声があてられている。ぼくはこれがあまり好きではない。見ていると実写と見間違う気色の悪い瞬間があるからだ。リアルな顔をリアルなCGで表現するのが新しいと思っている確信犯なのだろうか?それともただ単に安易な表現に逃げているだけなのか?まぁ、それはいいとしても、残念だったのは物語だ。

迷った末に3D吹替で鑑賞したのだけれど、いつもながら山ちゃんの演技には感心させられた。山ちゃんとはもちろん山寺宏一のことだが、彼の声に違和感を感じたことは今まで一度もなく、今回も主人公の老人スクルージとその若かりし頃、さらにはそのスクルージを連れ出す聖霊までをもそつなく演じ切っていた。本当に山ちゃんはすごい!、、、ってぼくが期待してたのはそんなことじゃねぇい!べつに声優が下手だってよかったんだよ!今さら作り込む必要のない古典なんだからさ!ぼくが見たかったのはこの寒い季節に心温まる物語だったんだよぉう!!

とはいっても、、、。クリスマスはまだ1ヶ月以上先である。いくら街中にそれらしき催し物がちらほらと顔を出していようとも、気分はそこまで乗り切れない。どちらかと言えばハロウィーンの余韻が残っている時期だ。、、、微妙か?まぁ、とにかくまだ早いったら早いのだ。そう思っていたぼくの予想に反して、館内にはカップル、家族連れ、女の子同士が溢れ返り、完全にTDLアトラクションと化していた。なんと忌々しい!

物語はさながらホーンテッド・マンションのように亡霊が飛び交い、それにビビッた爺さんが右往左往する。そして、自らの負い目や周囲に与えた影響を無理矢理見させられ、がめつい自分の生き方が間違っていたと改心させられる。という、ぼくの妬みなんかよりずぅーっと暗いものであった。ハロウィーンの残り香どころではない。実際、隣に座っていた少年がかなり怯えていて、途中からお母さんが抱き抱えていた。これにはさすがのぼくも同情して「もっと心休まる話を頼む!」と映画に念じたが、無駄だった。陳腐なホラー描写と中途半端なハートウォーミングに終わる。一体だれが得するのか?

ディズニーにも聖書にも「すべての人」を満足させることは無理だったようです。(★☆)