主人公の名前もナポレオン・ダイナマイトだったとは…「バス男」

このDVDがレンタルリリースされたとき「は?バス男?なに電車男のパチモン?ハイハイw」と当たり前のように思った。よくよく考えてみればアメリカが電車男のパロディなんてつくるわけがないので、「やらかし邦題」だとわかるんだけど、なにしろまるでショートコントの題目のような気の抜けたタイトルであるし、思わず二度見してしまうヘンテコな青年がパッケージを飾っているのだ。まあ興味が沸くことはないであろー。しかし、最近ゼロ年代ベストなどの影響で過去作をふりかえる機会が多いことから、なにやら面白いらしいぞ、しかも当時全米で大ヒットしたらしいぞ、という情報を得たので、今更ながら観るに至った。この邦題に関わったひとたちは「バスを利用するたびに『今日なにすんの?』とタメ口で質問してくる小学生が隣にいる」という呪いに悩まされてるはずなので、知らなかったぼくが悪いのだ。

さて、この『ナポレオン・ダイナマイト(原題)』という映画。駄目で冴えない、なんの取り柄もない、つまりはモテない主人公ナポレオン・ダイナマイトという青年を中心に駄目で冴えない、なんの取り柄もない、つまりはモテない男子たちの青春模様が描かれていた。映画のなかで「今の知識で昔に戻れたらな…」というセリフがあったが、あの頃この作品をバカにして無視したぼくも心底そう思わされたのであった。いやあ、もっとはやくこの映画に出会えていたらなあ………ということは別にないけども(笑)

映画全編に魂を抜かれるようなアンニュイさが満ちていて、時々字幕読むのを忘れてボケーッと眺めてしまう。何をって主人公たちの顔、顔ってゆーか見てくれ。この映画まず彼らの見てくれがまず素晴らしい。ちゃんと見えてる?って思うくらい眠たそうな目といい具合に涎が垂れてくれそうな半開きの口、活力を微塵も感じさせないアホ面がクセになる脱力感を与えてくれるのだ。しかし彼らは隅っこでモジモジするようなタイプではなく、不満があればすぐ文句を言うし、目標があればかなりアクティブに行動する。そのアクティブさだが、ここでもやはり強烈なアンニュイさがあるため、観ていてとてもやる気がなくなる(笑)「とりあえずその顔をどうにかしてくれよッ!」と何度思ったことか。

何をするにしても顔とテンションが変わらない彼らを見てると、どうしたものか引き付けられるというか、どうしようもないから気になって仕方ないというか、あのダンスシーンでさえ同じ顔なのには爆笑した(笑)あ、ダンスと言えば、あれって上手いのか??いや良い場面だと頭では理解してはいるんだけど、視覚に訴えてくるものがあまりに変化球なもんで、、、「こ、これは一体…」と、ぼくにはどう捉えればいいのかわかんなかった(笑)まあでもラストのほんのちょこっとのハッピーが物凄く嬉しくて、最後の最後の相変わらず感が実に微笑ましかった。好きな場面はナポレオンが親に「Fine!(そうかよ!)」と言うところ。まあ別に何でもない場面なんだが、なんかこう「プイッ!」と顔を背ける仕草がたまらなかったなあ(笑)

そんなクセになる味わいがあり、なんか好きになれる本作。しっかし、突如現れたラフォーンダが「しずちゃん」にしか見えなくて困った。あれは間違いなくブ…(★★★★)