お姉ちゃん、おおきに「おとうと」

みてきました。いやあ、まずこの作品がMOVIX宇都宮の一番でっかいシアターでかかってたことにビックリしましたよ。いや別にいい、というかむしろ嬉しい?くらいなんだけど、映画館を2っしか渡り歩かないぼくは「何番シアターならあのへん」とか「何々は迫力ありそうだからでかいほうがいいな」とかその逆だとか…。まあ絶対条件てほどではないにしろ、そんなカンジの好みがあるわけです。気持ちの問題ですね。ハイ。それとその一番でっかいシアターではいつも映像が派手にビシバシやってるアクション映画とか、テレビでバシバシ宣伝してるようなのばっかみてたから、何となく不慣れなカンジでしたね。だからどうってコトは特にないんだけども。

この映画、評判があんましだったんでどうかなと思ってたんですけど、言っちゃうとそこそこ楽しめました。さすがに泣くまではいかないにしろ笑って泣きかけて全然よかったです。でも「これ若いひとが楽しめるようにつくってる?」てのは強く思いましたね。やっぱり蒼井優加瀬亮の役回りが楽しみだったから、ある場面では「お!いいねいいね!」とテンションあがったんですけど、あんなにあっさりされるとは…。「あ、若いひとは無視なんだ」と思っちゃいましたねえ。

平日の昼間ということもあってか(ないけど…)、おじいちゃんおばあちゃんいっぱいでしたよ。カエラ風に言わせてもらえば「じじく祭・ばばく祭(だから言ってみたかっただけだって何度も言ってるじゃないですか…)」が絶賛開催中で劇場内はもう終始にぎやか。「ハイ、皆さん笑ってください!」という場面で必ず笑ってくれる良いお客さんたちばかりで、事あるごとにひそひそ話してらっしゃいましたね。いやぼくはそーゆーの全然平気ですよ?むしろ1人で静かーに観ていたら間違いなく楽しめなかった映画でしょうこれは。というのは、この映画の笑うポイントがぼくにはぜーんぜんわかんなくてですね、誰かが笑ってくれてはじめて「あ!いま笑うとこ!ああそう!」と気付けたくらいなんですよ。最初の「その息子が…」とかサッパリでしたもん。ひとりだけ豪快な笑いを提供してくれたばば…いやお姉ちゃんがいてですね、ほんとうにお陰様で何度も救われましたです。おおきに!(一応書いとくとバカにしてるわけじゃない。まじで感謝。)

重苦しくないどこかにいそうな下町の人間模様はそれなりに描いているのに、蒼井優加瀬亮はあっさりしちゃう。そんなところから何となく「老い」が見て取れてしまうんで、まさかまたナレーションで終わらすのかなんて思ってたら、その「老い」の場面さえも「平然とした描き方」をするもんだから、ぼくは逆に開き直りました。あ、そうそう、劇中でいちばん良い演技してるなあと思ったのは義母役の加藤治子さん。おばあちゃんらしい憎まれ口を叩いて場内をあたためてくれたんですが、一度だけ、その憎まれ口の中に「悲哀」が混じっていて、同じセリフ吐きにくるだけなのに変えてくるのかあ、と思いましたね。よかったです。

家族がお互いに「べえ」をつける習慣はなかったけど、とりあえず蒼井優の「べー」最高。さすが山田洋次監督。目の付けどころがシャープですね。(★★★)