なんでぼくはいっつもこうなんだ!「ボーイズ・オン・ザ・ラン」

予告編どころかポスターを見ただけでも「この映画、絶対に気に入る!」と思わされた期待作。が、しかし・・・まさかのモヤモヤ発生でありました・・・。映画終わってから人気のないたんぼ道をチャリンコで爆走して飲み屋へ直行。だって納得いかないよこんなの。なにがって主演の峯田和伸がさー、素ん晴らしいダメ男を素ん晴らしく演じてるのにさー、なんか周りの人物の描き方がビミョーじゃん!ぜったいヘンだよこの映画!

なんつーか、主人公のことを「見下してる」感じがみんなあんましないじゃん。なあなあで付き合ってますくらいのどこにでもあるレベルでさー。その辺あれ?と思ったのが会社の飲み会んとき。あの席、あの状況で、あんなやつがさー、明らか同僚中トップクラスのコとイイ感じに話してたらさー、誰かにチヤホヤいじられるのが筋でしょうよ。というかあんな状況が成立する時点で主人公のポジションに「?」がつくわけ。肉付きがエロい黒川芽衣をヘンテコ女とするのはいいとしても、あまりに早く発覚しすぎ!は?おまえラッキーじゃん。つーかその恋は「たまたま近くにいた美少女」に芽生えたわけ?って思っちゃった。

要は主人公のダメっぷりに「正しい反応」を示すやつが少なすぎるんだわ。わかってらっしゃるのはテレクラの豚だけで、哀れ顔は全然映せてなかったけど、まあこの駆け出しはゲロ吐くほど最高でしたよ。それだけに、その後の展開に納得いかない。「僻み」しか持ち得ないんだわ。無駄に周囲のキャラが濃い割には、主人公の描写が浅い。演技に頼りすぎ。それが逆効果で結局のところ「ただのサル」にしか見えないのが痛い。本来胸を打たれるような言葉があるはずの物語なのに、いい台詞がひとっつもない。営業先の調子こみ店員とか放置でいいんか?散々こけにされたんだから、新米の茶髪マンモスよりそっちだろ?ほんとメール画面を大映しにする映画にはロクなのないわ。

最後にこれはあくまで個人的に引っ掛かったとこだけど、まずあのカラオケのとこ。銀杏BOYSの峯田和伸が、わざと下手にきこえるように、下品にきこえるように歌ってたんだけど、それでもなんかちょっと上手いんだわ。その姿を見て同僚たちが唖然としてやがるんだけど、ぼくは「何でお前ら盛り上がらないの?」といまいちノリきれなかったよ。「ハイ、みんな引いてるからここは引く場面です」みたいな無理強い感があって、どうもついていけないんだわ。まさか『ボーイズ・オン・ザ・ラン』てそういう意味?違うだろ?あとは松田龍平あいつだよ。ぼくは彼の飄々とした感じが好きで、なかなか「かっこいい」と思ってるもんだから、物語上仕方ないとはいえ敵対視するのがちょっと難しかった。狙いなのかもしれないけど「なにもしてこなかったやつが勝てるわけねーんだよ!」という台詞に説得力がありすぎだったと思うんだわ。そこ強調されると、一体映画でなにをやりたかったのかがわかんないわけ。まさか『タクシードライバー』の宣伝?違うだろ?もう!

ぼくにとっては非モテになり損ねた「似非・非モテ映画」。というわけで、まあ戯れ言をぶちまけちまいましたが、巷では割と好評のようです。ちぇっ!ぼくだって楽しみたかったよ!(★★)