これぞ映画の軌跡「地下鉄のザジ」

これ大好き!最高!毎日みたい!!って、え!?なになに去年の9月に公開されてたの!?うそーん。まあ、しょーがない。いいよべつに。家でひとりで観るから。ぷんぷん!(痛)。はあ、ちょっと落ち着かなきゃ。でもこんな書き出しになるのも無理ないですよ。この映画、もうホンッッッットに最高でしたから。大好き!最高!毎日みたい!!と、まじでそれが率直な感想であります。

この映画、田舎からザジという少女がやってきて、パリの街でドタバタを繰り広げるという本当にそれだけのお話なんですが、たのしい、おもしろい、すばらしい、と三拍子揃った最高の映画でありました。まず遊び心満載の映像。意味もなく早回しになったり、意味もなくスローになったり、同じシーンを繰り返したり、同じ場所をぐるぐる回ったり。走ってないのに走ってることにしたり、物理的には無理がある動きをしたり、泣き声を適当に入れてみたり・・・。とにかくルール無用のフリーダムっぷりです。しかしそれゆえにたのしい。

映像や音楽の荒唐無稽なリズム感だけでも満足できるんですけど、実はお話もおもしろい。地下鉄に乗りたい!と騒ぎ立てるザジはオレンジのタートルネックにオカッパの可愛くて自由奔放な女の子。でも口を開けば下品なことや嘘ばっかり言って、とにかくデタラメ。どれくらいデタラメかと言うと「先生になって生徒をいじめるわ!あ!あと火星人もいじめてやる!」なんてことを嬉しそうに話すくらい。ハイ、ワケわかりませんね。その無邪気さの原動力はなんだい?と気になって仕方がない。しかしそれゆえにおもしろい。

ザジはなぜ地下鉄に乗りたかったんだろう?答えは単純。「乗りたいから」。大人はいつだって自分や自分を取り巻く人々の都合を取り繕って生きています。そしてそこには善意も悪意も入り乱れる。子どもにとってはアンダーグラウンド、未知の世界。しかし未知ゆえに魅力的にうつってしまう。魅力的であればたのしいし、おもしろい。たのしくておもしろいなら、子どもだったらそこに意味や理由なんて求めない。この映画はその心を見事に映画として描ききってしまったのです。すばらしい!

とびっきりの笑顔をみせてくれるザジをみて、子どもの頃こんな風に笑えていたかな?なんて思ってドキリ。あはは、ぼくも年を取ったなあ、なんちゃって。(★★★★★)