ネズミーランド「シャッター アイランド」

上映前に予告編でもあった「この線は○○です」が現れて、ああ、たしかに曲がって見えるなあ、脳の誤認識ってあるんだなあ、と改めて思わされました。その面白味を映画にできたらそりゃ画期的ですし、今はなんか映像技術すごいし、「登場人物の身振り手振りに注目して観てください」なんてアナウンスも入るもんだから、よし!逆にのほほんと観て騙されてみよう!っていうスタンスで臨んだんですが・・・。はい、見事に騙されましたよ。だって謎解きミステリーじゃないもん!ただのドラマだよ!

開始して早々にイスからずり落ちそうになったのが、相棒が銃を取り出すトコ。・・・え?と思いましたよ。だってこれ見よがしにカメラが寄っていくんですもん。注目してくださいとか言ってこれじゃ他に見るトコないよ!どうやって騙されろと!?うーん、まあね、あとはなんですかね、コップが消えた→薬飲んでない、に繋げてるつもりなんでしょうけど、どう贔屓目に見ても失敗してますよね。ウダウダ書いたらキリがないんで良かったところを書いとこう。

「あれは単なる殺人だった」と戦争の過去に悩まされるディカプリオさん。その回想シーンで捕虜たちを横並びに立たせて銃殺していく様子をカメラがゆっくりと横移動して長あああく映してく。このシーンは素晴らしかった。逃げ出した捕虜を撃ったことから「え!?撃つの!?撃つの!?う、う、うわー!!」とワケもわからず戦争に飲み込まれていく様子にゾクゾクきました。テンパッてるときのディカプリオは天下一品です。

この映画、デニス・ルヘインが原作ということで、たぶん作品のテーマとしてあるのは、その理由は何であれ常軌を逸してしまった人間に対して「治療と裁き」というコトが、誰かの都合でつくられた「システム」の上に成り立つのか?ってコトじゃないかと思うんですが、まあ、映画では最後の数分にチョロッと語られるだけであんまりでしたね。まあ、原作読んでないんですけど。そんなことよりネズミね!ネズミだよネズミ!劇中に断崖絶壁の波打ち際にネズミがウジャウジャいるシーンがあってですね、ぼくあの生き物大大大ッキライなんですよ!小学生のとき、朝起きたらなーんか足の指先に冷んやりとしたモノがあるなあ、何だろうと思って布団どけたら、ななななんとネズ公が転がってやがったんですよ!ギャーッ!とそのとき全身に広がった寒気と右足中指の不快感を思い出してしまいましたね。あんなに大量にでなくてもいいだろーが!

というわけで、違う意味で見事に騙されてしまった本作。原作は面白そうな感じがするものの何となく映像化には不向きな気も。それにしてもとんでもないモノを見てしまった・・・。ディカプリオよりぼくが憔悴。まったく、なーにが注目してくださいだ。これじゃチュー目だよ!(★★)