立役者はビリリ愛「ベンダ・ビリリ!〜もう一つのキンシャサの奇跡」

渋谷シネマフォーラムにて。アフリカ・コンゴ共和国で生まれたバンド「スタッフ・ベンダ・ビリリ」の軌跡を追ったドキュメンタリー。

劇映画ではなくドキュメンタリーであることで、より強く彼らの意志を感じることができ、さらにその力を信じる映画に携わった人々の想いまで感じることができる。スラムドッグな彼らが音楽に出会えたこと、彼らに出会えた映画制作者、そして、この映画に出会えた遠い異国のぼくたち、と、世の中奇跡のオンパレードで素晴らしいだらけじゃないか!とさえ思えてしまう快心の一品でありました。

音楽の素晴らしさというより自分たちを信じて生きる人の美しさが描かれるんですが、この映画の凄味はその映像の単なる羅列に終わらず「父と子の継承の物語」でもあるということ。音楽というきっかけから彼らと巡り合えたことで、観る者の一生の宝になるようなドラマを発見することができた。これは映画が起こした奇跡としか言いようがないと思います。

「ベンダ・ビリリ」とは実に不思議な響きですが、その意味は<外面ではなく、内面を見よ>というもの。貧困、障害などの苦境を音楽を信じる意志の力で跳ね返していく彼らの姿をそっくりそのまま語っていて、なんだか魔法のような言葉にきこえました。平和ボケした国に住んでるからといって、こーゆーお話を素敵だと思うことが「高見の見物」にはなりません。なぜならこの感動は彼らも望むものだから。

彼らをスターダムに押し上げたビリリ愛に乾杯。来月の日本公演でも万雷の拍手がありますように。(★★★★★)