トゥルー・ラブロマンス『making of LOVE』

古澤健監督のほとばしる映画愛と主演女優・藤代さや嬢のたいへんな魅力にノックアウトされる一品。おもねるわけでもなんでもなく、今年のベスト邦画はコレで決まり!

映画評論家・町山智浩氏が、タランティーノのコトを「おもちゃ箱に好きなおもちゃを入れるように映画をつくる」と言っていたけど、映画監督が映画そのものへ愛情表現をする作品って、過去作品のサンプリングやオマージュをやるか、登場人物を映画関係者にしてそのまま物語で描いてしまうかのどちらかだと思う。

本作が舵を取ったのはモロもモロ過ぎるくらいに後者で、「完成しなかった愛についての映画の記録映像」という形をとっているんだけど、この形をモキュメンタリーという言葉で片付けてしまうのは惜しい気がする。実際にあった出来事に見せかけた映像作品なので間違いなくモキュメンタリーではあるんだけど、呼ぶべきは「メイキング映像」であって、それが映画の「本編」として成り立ってしまっているチョット何と呼んでいいものかわからない代物だと思う。ひとつ確かなのはこの映画の原動力は愛、映画への愛だってこと。

主演男優をつとめるハズだった男性・翔太と主演女優をつとめるハズだった女性・ゆかりちゃん。このふたりの純粋な愛。そして、映画監督ふるさわたけしの「いい映画を撮るんだ!」という映画への狂気的な愛。描かれるふたつの愛が「真実」であるがゆえに映画はとてもとても切ない物語となる。ぼくはここに激しく涙しました。鼻汁すすりながらED曲の「メイクオブラブ〜WOW〜♪」を口ずさみました。愛って一体なんなんだぜ・・・。

話を巻き戻してタランティーノだけども、『キル・ビル』を超える、もしくはタランティーノがリメイクしたがるような日本映画はまだかい?そろそろしようよメイクラブ!(★★★★)