女と女とムショの中『シカゴ』

監督ロブ・マーシャル。2002年の映画。ミュージカル映画好きなんですけどそんなに本数見てないし、ミュージカル自体にも詳しくないんですが、この作品だけは大好きで何回も見ています。「歌」の場面が会話ではなく、登場人物の紹介だったりそれぞれの心象風景であったりするのがおもしろく見れるし、殺人を犯した女たちの「女囚もの」としての見所もある。これらが組み合わさっての相乗効果にとんでもないエンターテインメント性があって、見るたびに時間を忘れて楽しんでしまいますね。

曲で一番好きなのは「ラズル・ダズル」という曲。ラジー賞取るか取らないかギリギリのラインを演じるリチャード・ギアの歌です。痴情と暴力にまみれた街シカゴを華麗に生きる弁護士の彼は、世間の目を引く女囚たちを次々に「プロデュース」してゆくのですが、その姿が本当に素晴らしい。「女囚もの」と書きましたが、彼女たちをのらりくらりと乗り換えていく彼の姿には、男として憧憬を抱かざるを得ません。

そーゆー見方が可能なのも女囚たちの魅力あってこそで、女囚陣も素敵な方々ばかり。女囚ってあんまり言う機会ないから、今のうちに言っときますね。女囚女囚女囚じょ・・・。まず、キャサリン・ゼタ=ジョーンズには冒頭の「オール・ザット・ジャズ」でノックアウト。対するレニー・ゼルウィガーにはレネーなのかレニーなのかハッキリしやがれってなわけで、見た目はあんまり好みじゃないんですが、芸達者さんなので、歌や踊りより通常場面で楽しませてもらえます。他にもインパクト女優クイーン・ラティファやちょっこしですがバトル女優のルーシー・リューも。あと、名前わかんないけど絞殺処刑される女優さんも良かった。あの場面だけは当人の心象風景ではなく、彼女が死刑に処されるのを「見世物」として楽しんでいる観客の視点をミュージカルにしていておもしろかった。

そんな彼女たち相手に敏腕弁護士リチャード・ギアこそうまく立ち回りますが、レニー・ゼルウィガーの夫を演じるジョン・C・ライリーは見事なまでに翻弄されてしまいます。彼の歌う「ぼくは透明人間〜♪ミスターセロファン♪」もいいです。女を手玉に取るリチャード・ギアにもなってみたいし、手ごまにされるジョンの立場もそんなに嫌いじゃない(笑)。ロブ・マーシャル監督は『NINE』もそうでしたが、女性を魅力的に描いておいて、男の願望じみたテイストをぶち込んでくるとこがいいですね。セクシーダンスで迫りくる女性大人数に囲まれてみたいものですな。むふふのふ♪