ぼくにしか聞こえない『ウォール・ストリート』

オリバー・ストーン監督作『ウォール街』('87)の続編。前作を見ずして鑑賞にのぞんでしまったぼくは負け組みです、ええ。

この物語を経てマイケル・ダグラス演ずるゴードン・ゲッコーという男が、一体どういう状況に置かれたのか、また、彼の気持ちにはどんな変化があったのか。この辺りをてんで読み取れずに困りましたが、どうも何か胸につっかえるものがあります。この感覚は昨年の映画『マイレージ、マイライフ』を見たときに近い。ときに「現代」というのは如何様にも形容しがたいものがどの世界にもあるのかもしれません。ゲッコーはマネーゲームでは手に入らない何かを得たようにも見えるし、同じことの繰り返しなのでは?という風にも見える。空へと浮かんでいくシャボン玉は、果たしてはじけて消えるのか否か。とにかく、この作品にきちんと向き合っての感想は前作を見ないことにはまず手に入らないな、と思った次第であります。

ぼくは映画を見てよくわからんなーと思ったときは、思い起こせる限り映画のシーンを順を追って思い出すコトをしてみるんですが、本作ではキャリー・マリガン演じるゲッコーの娘ウィニーの言葉に何かヒントがあるように思いました。冒頭、なかなかベッドから出てこない恋人シャイア・ラブーフへ「寝坊よ、朝は一日の中で一番素敵な時間なのに。だから起きなくちゃ。」と語りかけるキャリー・マリガン。この台詞を思い出したときにハッとしました。そもそもぼくはキャリー・マリガンがかわいく映ってればいいやくらいの心意気でのぞんでおりましたので、彼女が着ている最初の衣装。つまりは「男モノのシャツ」。女性が着てしかるべき正装と言っても過言ではない出で立ちでスクリーンに登場するキャリー・マリガン。彼女を目にした瞬間こそが、ぼくにとってのこの映画の一番素敵な時間だったのですね・・・!と、いうわけで、写真の谷間に目を奪われているそこのアナタ。きちんと前作をチェックしてのぞめばきっとこの作品を楽しめるハズですよ。ぼくなんてこの文章書きながら考えてるのは『ウォール・ストリート』のコトではなくて、見たい、聞きたい、渡り廊下走り隊!のことですからね。今ならばはっきりと聞こえる。ぼくの株価大暴落の音。