渋谷で1000円2本立て『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』と『モンスターズ/地球外生命体』

『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』

グラフィティアートという文化を知らなかったので結構困ってしまったんですが、要は映画のスクリーンという壁にバンクシーが描いた「アートへの侮辱」に対する風刺、という作品だとは思うんですが、あくまで単なるドキュメンタリーとして見ると、バンクシーやMBWへのインタビューは一体どーゆー立場の誰が行っているのか?という点が腑に落ちなくて、そのインタビュアーが分からないと映像がリアルなのかフェイクなのか判断しずらい気がするんです。そして、これって多分あちらの思惑のような気もするんですよね。

なんだかエクスプロイテーション映画?というか流行りモノ?への批判をリアルなのかフェイクなのかわからないセンセーショナルな体で描いた物凄く大人げないモノ、という風に見えてしまいました。そもそもMBWが評価されていなかったのなら、きっとこの映画をつくらなかっただろうし、評価されてしまったとしてもソレは目の肥えた観客を育てられなかった評論家や表現者側の責任であって、何だか結果論から大げさに悪口言ってるだけに感じてムッとしちゃいました。バンクシーの作品(風船少女)とか凄くいいかも、部屋に飾りたいかも…とか思ったけど、あのフードの奥でどんな顔してるのかボクには見当もつかず、全然信用出来ないので正直あんまり興味を持てなかったです。まぁ、よくわかんなかったです。無念。

『モンスターズ/地球外生命体』

覚えているかぎり『マトリックス レボリューションズ』以来の立ち見にて鑑賞。見せる・見せないの演出が見事だという情報を得ていたので、そーゆー期待値を持って臨みました。すると本当にそんなカンジで良かったです。ヘリコプターを飛ばすだけでめちゃくちゃ不穏な空気をつくる演出にはシビれました。ただ、『第9地区』のアイデアに乗っかった感は否めないので前のめりになって興奮するほどではなく、また、タコ風味の造型に卵を守るために人間を襲うという生態のクリーチャーにもラストの交尾?交信?以外に見せ場はなかったです。さて、ここから妄想に入りますが、ボクはヒロインの左腕に巻かれた「包帯」についての説明を結構見逃していて、ぼんやり覚えているのが、骨折?とか言ってた割には治りが早かったのと、列車内でヒロインが寝ているときに主人公が何やら伏線じみた視線を送っていた、という2点で、ここら辺を妄想で補填しますね。

あの左腕にはエイリアンの卵が産み付けられていて、彼女にはそれをアメリカへ持ち帰る任務があった。父には裏の顔があるのだ。何らかの失敗でどうしても主人公のカメラマンにしか彼女の救出を依頼できない、という状況になっていて、ラストの場面での電話の会話が「大丈夫・・・わたしを信じて」というどこか恋人との会話が想像しづらいコトやのちに発する「帰りたくない」との台詞に違和感があることから、つまり、この映画はエイリアンの何がしを身に宿したヒロインによる、言うなれば「男に手を出せない版『スピーシーズ』」といった作品で、結婚指輪まで差し出すコト、女たらしの主人公への失望、そして、最後に目撃する巨大エイリアンたちの戯れに「わたしはアメリカに戻ったらあんなモノたちについての人体実験を受けるの!?やだ!『帰りたくない!』」との思いを抱く、彼女にとっての悲劇を描いた作品のように思う。鼻で笑っているソコのあなた!ボクも笑いながら書いているけども、ラストの軍人の「オレのテーマ」は『ワルキューレの騎行』で、あれって半神/戦乙女の曲なんですよね・・・。ハイ、ボクはもう満足です。