血潮い実はじけた『ハンガー・ゲーム』

ハンガー・ゲーム』感想。

面白かったです。予告編などで聞き覚えのある「ハングゥァーゲェェィム!」の声が、まさかスタンリー・トゥッチによるものだとは思ってなかったっていうか、本編中にあの声をきいたときに初めてあの声が印象に残ってたことに気付かされたっていうか。

12〜18歳の少年少女の中から年に一回くじ引きでプレイヤーを選び殺し合いをさせるというモノですが、もし、こんなゲームが75回も行われていたら?っていうファンタジーだと思って見ると、多くの母親はきっと身籠った瞬間から自分の子供の死を意識するだろうし、炭鉱で働いて支えてくれたであろう夫と死別したら抜け殻のようにもなると思います。12〜18歳までクジが蓄積していくルールがどうやらあって、そんな中でひもじい思いを噛みしめながら過ごしていたら、ただただ殺戮を楽しむアホにもなっちゃうと思います。もしくは、クジを引き当てられたそのときに変わっちゃう。

そういった麻痺は、プレイヤー側に限ったものではなく、『P2』(2007)のときとは別の意味でギラギラした眼をしているウェス・ベントリーやここ最近ヘンテコ狂言回しの脇役が続いているウディ・ハレルソン等に見られる「出世/保身」など、プロデュース側にも見られました。その狭間で、主人公カットニス(asジェニファー・ローレンス)の孤軍奮闘が描かれるわけですが、木の実の場面にあった「頭が良すぎた」というのを伏線にして、最後には彼女さえも無自覚的に自分への想いを踏みにじっていたことに気付かされて、王冠をもらいながら苦虫をかみつぶしたような表情を浮かべるのが、逆説的に純愛を語っているようでイイなと思いましたね。面白かったです。おわり。