山王会・オブ・ザ・デッド『アウトレイジ ビヨンド』

アウトレイジ ビヨンド』感想。

見るとバカヤロウ!コノヤロウ!と言わずにはいられない呪いがかかってしまう『アウトレイジ』(2010)から5年後の物語。一体どんな映画なんだろう?っていう気持ちで一杯だったんですが、うおおおおおお!そうきたか!面白い!面白いぞ!バカヤロウ!コノヤロウ!でありましたね。最高!

実は生きていた大友(asビートたけし)による「誰がまたヤクザやるっつったよォ」というセリフは映画そのものを指しているように思います。前作にあった暴力の娯楽性は鳴りを潜め、淡々と人が死んでいきます。会話の流れ上でこそ皆キレますが、常にキレているのは唯一の非コワモテである石原(as加瀬亮)です。これは、もう前作とは別の方向性だということを宣言していますよね。

関東vs関西勃発のきっかけになったのは「指噛みちぎり」でした。このシーンはゾンビを想起させますが、死んでも生き返る=ゾンビという記号は、上の者が死ねば下の者がエレベーター式に上がっていくというヤクザのシステムに重なります。誰かが死んでも代わりはいくらでもいるし、関東が弱くなれば関西が強くなるんですね。そこで、映画の主人公である大友は、エレベーターを11階まで上がってから1階に下りる=逆走していき、「何かっつーっと腹を刺されるなァ」なんてうそぶきながらヤクザのシステムから外れ=Outrage(非道)な存在になるんですね。だから、終わらない抗争劇そのものに怒りを感じているように見えるのかなぁ、と。ハイ。というわけで、超面白い映画だったぞ!バカヤロウ!コノヤロウ!リリース時には『山王会・オブ・ザ・デッド』と題して加瀬きゅんの野球姿をずっと映した特典ディスクを出しやがれ!バカヤロウ!コノヤロウ!おわり。