明けてから見てた映画いくつか

今年に入ってから『エリア・オブ・ザ・デッド』,『スリープレス・ナイト』,『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』,『ミラージュ』,『それでも、愛してる』,『ザ・レイド』,『キラー・スナイパー』,『青いソラ白い雲』,『17歳キャロラインの三角関係』,『トータル・リコール』,『リンカーン弁護士』,『人生はビギナーズ』などを見ていました。なかなかの好スタートですねぇ。以下、なかでも気に入ったやつの感想。


スリープレス・ナイト』感想。

去年、短い期間らしいけど公開あったみたい。最近ちょいちょい見掛けるようになったフランスのアクション映画。面白かったです。ナイトクラブ内の密室で汚職/捜査/犯罪が交錯するそれぞれの思惑モノで、「だんだん血が滲んでくるシャツ」や「滴る雨漏りが確実に溜まっていくバケツ」など、ジワジワと状況が傾いていきます。無関係の人が唐突に絡んできたり、緻密なようでいて大味なところがイイです。その展開が登場人物のピンチと物語上の行き詰まりを同時に解消してくれるので一石二鳥な感じでした。それにしても、子ども、一皮むけすぎ。


『ミラージュ』感想。

自警団モノのチリ映画。面白かったです。ノーCGノースタントで繰り広げられるまさかのどっしりアクションっぷりも良かったし、ヴィジランテっていうテーマに真面目に純朴に取り組んでるのも見応えありでした。ただ、主人公へコンビ結成のオファーをしてくる偽ロビンと名乗る男による「僕らの冒険は終わりだ。バイクを返してくれよ。」といった台詞がなかなかオカシくて、彼の闇を取り上げるには既存のコミックとかを掘り下げないといけないだろうからやっぱり面倒なテーマなんだなと思いました。


『それでも、愛してる』感想。

落ちジェニファー・ローレンス拾いです。彼女の初登場シーンが「チアガール」というのに度肝を抜かれましたが、鬱病を患った主人公メル・ギブソンによるビーバーとの一人二役の演技がイイです。なかでも、「ビーバー」なる方法を閃くまでのメル・ギブソンによる幽体離脱でもしたかのようなナレーションが素晴らしかったですね。ビーバーを携えて戻ってきた父、妻、次男の三人に流れる穏やかな時間を捉え、対照的に暗闇のなか静止した時間を過ごす長男を別個にして映すなど、とても丹念な映画でした。けれど、「ジェニファー・ローレンスのチアガール」や「副社長」などの脇役がどうしても気になってしまい、それまでどんな風に関わっていたのか1から10まで見たくなってしまって、そういう注文をしようにも「過去にこだわれば今はなく、過去に目をつぶれば未来はない」という台詞に釘を刺されて微妙な気持ちになるのでした。


キラー・スナイパー』感想。

2013年もDVDスルーが話題になっております。面白かったです。生と死の振り幅がオカシな人たちによる殺人の一悶着。警察官なのに殺し屋としてのプロ意識を持っているジョー(asマシュー・マコノヒー)が、保険金目的の殺人を企てる一家を掻き乱してイキます。物語を落ち着けるツッコミ役が一人もいないので、オカシなコトがオカシなままこじれていきます。なので、逆に安心して見ていられますね。結婚式で聞いたのとかドウでもイイ情報を話したり、それで…俺のビール代は…?とかほぼコント仕立てだったり、葬式のあとは腹が減るとかよくわからないながら妙に納得させられてしまいました。


リンカーン弁護士』感想。

上記に続いてマシュー・マコノヒー主演作品。面白かったです!「弁護士」という題材を職人芸のように仕立てているのが粋で楽しいです。画面に線引きが入りヒップホップ風の音楽が乗ってくるかっちょいいオープニングから長回しで主人公の性格を説明する冒頭がお見事。何故リンカーンに乗ってるのか、何故運転手が黒人なのか、などなどの設定にアメリカ的な意味合いを感じつつ、それらのことがよくわからなくてもとにかくマシュー・マコノヒーの一挙手一投足で楽しめました。続編製作が決定しているそうなので楽しみですね。どんなタイトルになるかも楽しみ。


人生はビギナーズ』感想。

このテのタイトルの作品には何故だか黄色が合いますね。マイク・ミルズ監督の自伝的な内容だそうで、断片的な記憶で語られるシーンが多く、それらをつなぐ理屈ではない何かに惹き付けられました。登場してスグは咽頭炎で喋れない設定のメラニー・ロランが魅力的で「これが無表情。こういう顔をしている人がどこかを見ているとき、心は別の場所にある。」という何気無いやり取りを主人公ユアン・マクレガーとしてくれて心地イイです。喪失感は喪失感としてその人の歴史に刻まれ、それらを埋める/忘れるのは別のことなのだという素敵なドラマでありました。