誰がために汗をかく『横道世之介』

横道世之介』感想。

素晴らしいぃ〜!最高の期待値を最高の形で飛び越えてくれました。すんごく面白かったです!けど、どういう風に面白かった???って聞かれるとチョット困る感じで、ちょうど劇中で世之介(as高良健吾)が加藤(as綾野剛)のことを説明していたように「アイツがこうするとこうするヤツで〜〜」と、あらすじ説明をしていくしかないのが歯がゆさであり、同時に、素晴らしさであったと思います。

登場人物それぞれの「人生」という一本道、その一本道にある大学や教習所、ワケありの恋愛や初めての恋愛といった誰にでも一つはある「転機」という停車ポイントに“横道世之介”は存在していました。気が付いたら傍にいた彼なんだけど、気が付くと忘れてしまってる。でも、思い出すたび笑顔がこぼれてしまう、そんな存在です。

周囲の人々の「転機」に天然記念物的な魅力で関わりながら見送り続ける運びとなる世之介にも成り行きの恋から本当の恋という祥子(as吉高由里子)への気持ちの変化と“隙がなくなっていくカラダ”っていう「転機」が訪れて、特に何のキッカケもなしに世之介とはそれなりに離れていく人々が多いなか祥子だけに「いってらっしゃい」と見送られることで、それまで周囲の人生のワンピースでしかなかった世之介自身が、「写真を撮る=世界を切り取る」という作業に価値を見出していく様子がとっても素晴らしくって、あーこれはもう207号室で目覚まし時計の音を聞いたときから始まっていたんだなぁという流れにも気付かせてもらえて、映画という「人生を切り取る」文化ならではの“マジカルな感動”が味わえました。最高!おわり。