スウェットヘビロテな今日この頃で映画いくつか

『ポゼッション』感想。

人物が画面中央に配置されていたり、何もない場所にポツンと立たされるカットが印象的で、何やら空間の間を見るように仕向けられている感じ。悪魔的な何かだと勘繰る父親とMRIに出るまで信じない母親、影響を受ける妹と受けない姉、という具合に対照的な家族関係からも「その隙間」にいるであろうアビズーという存在に焦点を当てているように思いました。そういった「中にいる」イメージを持たされた状態で見る「喉から手が出る」描写は鮮烈。「オカルト」や「ホラー」といった型にはまった雰囲気づくりに頼らないポージングのキマったおもしろ映画でありました。かなり好き。


ハッシュパピー バスタブ島の少女』感想。

劇中たびたび言われる「この世界から欠けた1ピース」というセリフ。そう名付けられた映像世界。キラキラネームならぬキワキワネームなクヮヴェンジャネ・ウォレスちゃんら出演陣の一挙手一投足にも見応えあるんですが、とにかく何とも言葉にし難い映像感覚に魅力ある映画でした。原題『Beasts of the Southern Wild』。理屈だったり言葉だったりで捉えるのが難しく、そしてそれは正しい態度ではないように思う。だからといって野生の本能で感知することもボクにはできない。掴みにくい映画でありました。だが好き。


『ゴースト・スクール』感想。

スペイン産のオバケ学園コメディ。キャラクターそれぞれに行動原理を持たせようと設定詰め込み過ぎ感が足を引っ張ってはいましたが、中盤にある怒涛のオバケイタズラシーンの勢いは、今年見た『キャビン』(2012)の血祭りシーンを彷彿とさせる総決算っぷり。かといってオマージュやパロディに落とし込んでいないところが好きな映画でありました。ハリウッドリメイクも決定しているそうなので楽しみ。


メッセンジャー』感想。

世界の人々にこの事実を伝えたいから。ニュースではわからない感情表現をすることでより見る者に物語として印象付けたいから。そんな簡単な心構えではないんだろうけど、戦争を劇映画にする意義って何なんだろうと思う。その物語を知ったところでボクには何もできないし、できれば何もしたくない。これまで戦争ドラマを見て泣いたことはあるけれど、泣く以上の行動を起こしたことはない。映像として面白がってるだけ。「戦死した兵士の最近親者へその訃報を伝える役目を担った通告官=メッセンジャー」を描いたこの物語は、戦争に対する映画という媒体そのものへの鎮魂歌のよう。そして、傷付いた者同士が寄り添って希望を見出していく姿は、映画に参列することしかできないボクの姿そのもの。これだと唸らされる素晴らしい映画でありました。おわり