ミス台風一過’13『セレステ∞ジェシー』

セレステジェシー』感想。

男女間のいざこざの多くの場合なりがちなのが「どっちが悪い?」という状況ですが、そもそも、お互いに白黒つけようとすること自体がよろしくないです。とはいえ、好きだからこそ看過できずにそうなってしまうものなので、そういうときは子どもがいなくても、2人の間に愛という生き物がいると思って、それを育んでいけばいいんじゃないでしょうか。以下、こんな感じのが続きます。

どうやら、愛ってやつは、生まれること育まれることそして最後に勝つことを成分としているようです。しかし、セレステ(asラシダ・ジョーンズ)は、安定しない流され系旦那ジェシー(asアンディ・サムバーグ)との関係に「親友へ降格」という猶予を与えて、社会的立場から考えて優位に立ったつもりになり、自らが“正しさに負けている”ことに気付いていません。彼女はもうこの時点で“愛は勝つ”チャンスをフイにしているんですね。こと恋愛関係において、正義/悪というものが介入してしまうと、2人を勝者/敗者に分かつことになってしまい、取り返しのつかない事態を招いてしまいます。その結果を受け止めざるを得ないセレステの泣きそうで泣かない少し泣く姿は、映画的には超・魅力的です。

ソーシャル・ネットワーク』(2010)で、ザッカーバーグをサラッと分析してみせた彼女が、今度は自分自身を見つめ直すことに。月並みな表現しかできませんが、体当たりで映画を紡いでくれる彼女の朗らかさがとにかく素晴らしかったです。肉食、草食、鬼嫁、関白。流行やスタイルといったトレンドはいつの時代もあれど、型にはまらず堂に入るべし。相手を映し鏡だと思って、自分の中の恋愛感情ってやつとの付き合い方を身につけていく。そうやって、心と身体を鍛えるんですねぇ。

近年よく見かけるようになった恋愛いざこざ系映画。フェリシティ・ジョーンズの『今日、キミに会えたら』(2011)、ゾーイ・カザンの『ルビー・スパークス』(2012)が特にお気に入りでしたが、今年はこれも仲間入り。サッと風向きの変わるラストシーンが物凄く素敵でありました。セレステ、最高!おわり