『真夏の方程式』宿題は夏の終わりに

真夏の方程式』感想。

ガリレオ1話も見たことないんですけど、面白かったです。モチベーションとしては「難病を患った少年と接するプロ野球選手」を見る心持ちでオッケーでしょう。普段スタジアムで見掛けているユニフォーム姿ではなく、その人の「ひととき」を見ている感覚です。「何故かでない蕁麻疹」は、番外編や外伝だという合図ですね。

楽しいのは湯川先生(as福山雅治)のキャラクター。子ども嫌いゆえ“子どもを子ども扱いしない”マジレスのやり取りがとっても楽しいです。理科嫌いな少年によるアメーバとか磁石とかどうでもいいよ〜という素朴な疑問に対して「聞き捨てならないな」と返す場面は最高。また、その少年との最初のやり取りにある「ケータイをアルミに包む場面」は、科学というテーマを匂わせると同時に、この映画が、ケータイのマナーうんぬんという「常識」や「倫理」といったものよりも、「ご飯を食べている」と、少年のついた嘘を重要視している描写なんですね。サラリと巧い場面です。

秘密を明かす者、明かさない者、抱える者、そして、抱え終わった者。嘘をついたり、自分の中だけに物事を閉じ込めたりするということは、最初のうちは、騙すことや保身のためである場合がほとんどだけれど、次第に庇うことや慮ること、相手を思いやることになり得るんですね。真夏の方程式とは、いわばHow to 人間関係。好奇心くすぐる夏の日に体験した見応えある物語を実に面白く見せてくれた映画でありました。おわり