2014年初泣き含む映画いくつか

江ノ島プリズム』感想。

タイムトラベルってもんが組み込まれると「軌道修正」がテーマになってきて、その「限界」がでてきます。で、それに対してどうにかしようってなるんですが、この映画はそこを「極めて自然に」と切り抜けようとする。つまり「限界」を出し抜こうとするんですね。だから、物語の結末は、その結果の是非よりも「僕、こういうのよく拾うんで」というセリフが示す通り、タイムトラベルによって加筆・修正されたとしても決して消えない何かがある、その“輝き”に寄り添ったものとなっています。ここがイイですね。タイムプリズナーっていう“時間軸に取り残されたひと”なる設定があって、その子へプレゼントする花火は本当に美しかった。本田翼の感激っぷりがこれまた可愛い。ハイ。面白かったです!


『麦子さんと』感想。

亡くなった母の過去を知る物語といえば聞こえはいいけれど、主人公・麦子(as堀北真希)にはもともと母親って感覚がなかったわけだから、「亡くなった」ことがピンときてないんですね。骨壷を抱えながらそのことを知る振り返りの物語。

少女漫画、ボーリング、上京する前。あの頃は良かったと自分のことを振り返り、そこに留まるのは心地がいいものです。が、麦子は、周囲の人を介して母に対する自分を顧みるという“悪い頃”を見させられます。できれば目を背けたいし、認めたくないとイライラ。そうしてストレスに脱力したところで、母が“一番輝いていた頃”にお腹の中に“自分がいた”と知ります。ここで、タイトル『麦子さんと』に深みがでるんですね。畳み掛けるように『赤いスイートピー』の波状攻撃をくらわせられて2014年初の涙腺決壊でありました。

「あ?あぁ、言ってなかったっけ。あれババァだよ」なんてセリフで説き伏せてしまう松田龍平はさすが。ガダルカナルタカ&ふせえりの「喪服はいいなぁ」「まったくイヤラシイ」の夫婦漫才は下品だけれど奥ゆかしさがあって好き。ハイ。面白かったです!


『大脱出』感想。

スタローン&シュワさん共演のゴールデンお盆ショーガツ映画。面白かったです!脱獄のスペシャリストと言われればそう納得するんですが、どうにも彼が「本を出版している」まではしっくりこないなと思っていたら、その本で設計された監獄を自ら脱出するという「頭で書いたもの」vs「肉体」な展開になってきてピッと背筋を伸ばしました。あの映画に出演したしてない出演させてもらったさせてあげたっていう、お金じゃない「貸し借り」を映画の物語にそのまま持ち込んでいるような感じが楽しかったですね。借りてきたメガネの有無を言わさぬ感は貫禄。良かったです!


インシディアス 第2章』感想。

伏線回収ってのは、しばしば「残された謎を拾う」という意味で使われてると思うんですが、伏線ってのは、如何にそれを「謎だと認識させないか」が重要なんですね。謎だとわかってしまえば、それはもはや「予告」でしかなくて、明かされるネタは単なる後出しでしかない。この映画の「案内するよ」の場面には、その後のワクワクに加え、そもそもそれが謎であったと知るビックリがあって二重丸の素晴らしさであります。前作『インシディアス』(2010)をあの手この手で伏線としてしまう憎たらしさ。夢の中や糸電話などで彼方の世界と通じているときは心理的な描写をし、乗り移られたあとの現実世界では身体的な破壊でメリハリもオッケー。「俺たちFBIみたいだな」なんつってハズしのアクセントをつけてくれるスペック&タッカーのコンビに会える3作目も期待しております。面白かったです!おわり