胸につっかえたこの気持ち『たまこラブストーリー』

たまこラブストーリー』感想。

テレビアニメ『たまこまーけっと』は少ししか見てないんですけど、めっちゃ最高でした。タイトルに「ラブストーリー」とあるとおり、物語は「恋心」が及ぼす心情の変化を語ります。はじめのうち主人公はもち蔵(cv田丸篤志)です。伝えたいけど伝えられない。「恋」という字のつくりそのまま心がほつれにほつれた彼が拠り所とするのはピンと張った糸電話。粋です。

しかし、もち蔵はその想いを糸電話ではなく言葉でドンとぶつけてしまいます。いきなり過ぎてビックリのたまこ(cv洲崎綾)は頭がショートしてしまい口調が戦国時代に(可愛い!)。「かたじけない」などと言ってしまう可笑しさったらないです。たまこが抱えていたのは漢字でいえば「変」で、高校3年生という時期に訪れる色んな変化に戸惑っていたんですね。そこへ「変」という字に少し似た「恋」が混じってしまい、何がなんだかわからなくなってしまったわけです。

ここから“ラブストーリー”の主人公が、告る側のもち蔵から告られた側のたまこへと移行していきます。これが実に心地いい。「恋」を題材に「変わること」をテーマとして扱いながら、その物語の主人公をも鮮やかに変えてしまう。これが素晴らしい。そして、角度が変わったことにより、「めっっっちゃ見てるよねたまこのこと!でも、見てるだけだね。」と言ったみどり(cv金子有希)の姿が見えてきたり、彼女へ加勢するかんなちゃん(cv長妻樹里)の「いい顔してるね」のあまりのイイ話盛り盛り具合に「オ マ エ ら い い 加 減 に し ろ」とまで思わされてしまいました(褒めてる)。

でも、もち蔵はズルいです。しばらく会えなくなるかもしれないから告る、なんてズルいんですよ。だって、告られた側は、どう受け止めればいいんですか。ありがとうですか。嬉しいですか。分かんないじゃないですか。そういったズルさに「ウソ」でアシストする第三者の存在というのは“高校生のラブストーリー”において物凄く粋だなぁと思いました。

「お餅を好きになれたキッカケのおしゃべり」を思い出すことで、自分の中の「変化」を見付ける。似ているけれど少し違うと思っていた「変」と「恋」は、たまこの中で実は同じだったんですね。そして、ほつれにほつれた心を繋ぐ糸電話が気持ち良くキマってFin。いやー良かった。けいおん!シリーズといいコレといい素晴らしく好きなので山田尚子監督はこれからも追い続けたいと思います。ハイ。最高でした!おわり