続編ビッグイヤーにまた1本!『ピッチ・パーフェクト』

アナ・ケンドリックが歌って踊るガールズムービーがやってるらしいじゃん〜!程度の興味で飛び付くように見てまいりました。この映画、なんでも2012年の作品だそうで、続編となる『ピッチ・パーフェクト2』が、現在アメリカでヒット中なんだそうな。売れそうな2を公開するから1もやっとこか、そんな感じみたいです。正直、この映画の存在をまったく知らなかったんですが、知ってたら知ってたで「DVDスルー出してくれ!」と不満に思ってたはずなので、見終えた今となっちゃ、まぁイイのかなと。

ピッチ・パーフェクト』感想。

▼みんな良いキャラしてる

劇中で用いられる『ブレックファスト・クラブ』(1985)がそうであるように、この映画も「若者の悩み」をモチーフにしています。上手いっていうか楽しいのは、それをシリアスに扱うことはせずに、コメディタッチ、それも時に下品に時に自虐的にやってくれてるところです。それらは、クラブの伝統を一身に抱え込むプレッシャーから吐き癖のあるオーブリー(アンナ・キャンプ)、太っちょと自ら名乗るエイミー(レベル・ウィルソン)らに顕著で、他にもシンシア(エスター・ディーン)のギャンブル依存とレズビアンにステーシー(アレクシス・ナップ)のセックス依存、何がなんだかわからないリリー(ハナ・マエ・リー)、そして、高音の美声という女性らしさを失ってしまうクロエ(ブリタニー・スノウ)。アカペラクラブ・ベラーズに所属する皆それぞれが何かを抱えており、それら全てが自分の持っているモノをさらけ出す=声を出して歌うということに結実していく展開が、とっても気持ちが良いのです。


▼主人公ベッカ(アナ・ケンドリック)の魅力

そのなかでもボクが一番気に入ったキャラクターは、彼女目的だったんで当然なんですが主人公ベッカ(アナ・ケンドリック)です。彼女にはDJというかアレンジャーみたいな特技があったり、オーディションで披露する「Cups」がちょっと変わったもんだったり、まぁ独りぼっちで過ごしてきたんだろうなって感じがそこかしこで描かれます。「若者の苦悩」のなかでも一番こじらせ度が高いのは「早熟」だと思います。生まれた時代が同じだけれど自分は周りとは違う。そんなつもりはないのにどこか冷めた雰囲気を醸し出してしまう。独りの時間が長いから特定の人じゃなく「全体」を見ている時間が長くて、その感覚がアレンジャーや個性をまとめる能力につながっている。心と身体がアンバランスだから、自分をさらけ出すのは苦手で他人に見られるのなんてもってのほか。ダースベイダーの秘密なんてスグわかっちゃう。「若者の苦悩」は共有したり打ち明けたりすることで好転していくもんですが「早熟」はなかなかそこにたどり着けない。でも、彼女のその独特の距離感もルームメイトのように理解してくれる人は世の中にいる。今まで独りでわかった気になってた世界なんてちっぽけだ。もっと広い世界を見なきゃ!みたいな、そんな風なキャラクターとして描かれてるベッカに夢中でした。


▼「みんなちがって、みんな“いっしょ”に。」

それぞれの個性を活かすアカペラクラブを結成することで、みんな個性があって違うけれど、そんな当たり前を認め合うだけで終わらずに一緒に何かやろうよ!っていう〈グルーヴ〉が生まれて、映画館ってのはいろんな人たちと同じ映画を見る場所ですから、なんかその雰囲気がスクリーンに凄く合うんですよね。この映画のヒットの要因はそこじゃないかと、てか、そうであってほしいなぁと思います。色んな「音階」がいっしょにいられる映画=pitch perfect!

ハイ。続編は女性監督だそうなんで、「女よりも男の友情!」のセリフを吹っ飛ばす、1作目以上に楽しくて力強いガールズムービーを期待します。今年はマッドマックス、アベンジャーズターミネータージュラシックパーク、ミッションインポッシブル、007、そしてスターウォーズと、続編映画のビッグイヤーですが、『ピッチ・パーフェクト2』が今秋公開とのことで、楽しみがまたひとつ増えてしまいましたとさ。この笑顔が早くまた見たい!