ロマンに満ち溢れた大傑作!『ジュラシック・ワールド』

ジュラシック・ワールド』感想。

最高。最高の映画だった。今年はもう大方マッドマックスで決まりだろうなースターウォーズスターウォーズだからスターウォーズだしなーと思ってて、特大ヒットしてんだから無難に面白いでしょうよくらいの気持ちでふんぞり返って鑑賞したんですが、ハイ、たまげました。完全に吹っ飛ばされました。2015年は頭がオカシイ!

恐竜大好き少年グレイと彼の兄でお年頃な青年ザックの子供チーム。社会に揉まれてそれぞれの道を歩んでいる男女オーウェン&クレアの大人チーム。ストーリーは、この2チームの行動により展開されております。

開いているフェンスにまだ見ぬファンタジーを見てしまった子供組は、その後とんでもない目に遭うが、こちらを見るラプトルに小さく首を振り一緒には行けないよと意思表示した大人組は、その後に平穏を取り戻す。「たまには負けることも必要だ」。人は前へ進むだけでは自分の居場所を見失う。どこかのタイミングで歩みを止め、その軌跡を見つめ直す必要がある。未知との遭遇を止められなくなるインドミナス・レックスのように止まることができなくなってしまうのは危険なことなのだ。

今回の大ボスとなるインドミナス・レックスの一挙手一投足や擬態・体温操作の能力などは、劇中の人間たちと呼応していると思う。まず、マスラニ。ヘリを操縦する彼は快楽主義的な人物かと思いきや「2600万ドルも投資したんだ!」と叫ぶが、おそらく自分の勘以外のものを根っこの部分では信用しない人間で、他の人間に任せられないから自分で操縦に赴くのだと思う。次に、ホスキンス。ラプトルを兵器として利用する実利主義を掲げながら、狼との過去を真剣な眼差しで話し、空を舞う翼竜を眺め煌々とした微笑みを浮かべる。ホスキンスは本来オーウェンのような人間だったのだ。どこかでその歩みが変わってしまった。大人は、大人になるにつれて自分に嘘をつき、擬態する術を身につける。そんな人々がひしめき合っているのが世の中だ。ことほどさように世界とは、どれほど見渡しても見通しのきかないものなのだ。

映画『ジュラシック・ワールド』は、シリーズの持つ「6500万年前の世界の再現」にある温故知新の精神を見事に人間ドラマへと昇華し、次なるステージを予感させてくれる大傑作だった。見ていて本当に心が躍りました。世界は、映画は、まだまだ驚きとロマンに満ちている。最高!