苦痛ショーへようこそ『バートン・フィンク』

新作『シリアスマン』が公開中のコーエン兄弟監督作品。ヌメヌメとした掴み所のない感じが好きだったことを覚えていて、さすがにコーエン兄弟作品のひとつかふたつくらいはインセプションしとかなきゃマズイだろ、と思い立ったが吉日、ここ3日間はアホみたいに本作を見続けておりました。劇作家バートン・フィンクがその手腕を買われハリウッドに招かれ、初仕事となったB級レスリング映画の脚本執筆に苦悩するおはなし。

この作品は『ミラーズ・クロッシング』の脚本執筆に困ったことがキッカケになったそうで、単なる殺人事件のミステリーとして見ると不可解な描写の連続で意味不明な作品ですが、いちおう解釈の正解はあるんだと思います。でも、あの場面がこうだからこーゆー解釈ができるとか書いちゃうのはどーも過去の傑作に対してはあまり粋じゃないコトのような気がするので、なんか違う話を書きますね。

映画の感想を書くということをボクはちょいちょいやってますが、これって一体何なんでしょうね?*1。文章能力がアレとかいう話は置いておいて、今までいろんな視点・手法で映画の感想を書き殴ってきました。ときに、この映画はこーゆー映画!とハッタリかまして書いてみたり*2、ときに、ボクにとってはこうでした!と主観メインのネタ的解釈を披露したり*3、ほんとうにワケのわからないことを続けてきました。そのなかで自分にはどんなスタイルが合うか?ってのを最近ようやくわかってきたんですけど、これがまた1文字でも発見するのが大変で大変で。

すごく独善的で痛いカンジの文章になってきましたが、せっかく寝る間を惜しんで書いてるので続けますね。えと、少し前からタイトルに別の映画のタイトルのもじりをつけるようにしたんですが、これにもいくつかパターンがあって、たとえば今回だと『宇宙ショーへようこそ』なわけですが、本作『バートン・フィンク』と『宇宙〜』の関連性はゼロ。つまりあまり良いとは言えないパターンですね。どーゆーことかって、ホントはタイトルにする映画と記事にあげる映画に1パーセントでもいいからつながりを見つけたいんですよね。さらにその「もじりタイトル」の内容を本文にも反映させたい。今年だと唯一『ジョニー・マッド・ドッグ』の感想がしっくりくるカンジでした。あれは良かったよ!うん!

と、まあ、そういった自己陶酔と自己顕示欲を満たすためにやってるという自覚はもちろんあるのですが、最近このスタイルも頭打ちな気がしてさてどうしたものかと・・・。まあオチを考えていないのでもうやめにしますが(笑)、とにかくボクなんかとは例えようのない遥かな差がある「産みの苦しみ」を一本の映画として撮り上げたコーエン兄弟がほんとうに好き。「事実は小説より奇なり」の「奇」の部分に創造性を見出す彼らの作品たち、特にこの『バートン・フィンク』を見るたびにさまざまな疑問と憶測を噛み締めながら、一番、自分にとって良いものになる「箱の中身」とは何か?について考えを巡らせるんでしょう。そうやって過ごした一日が、今のボクにとってはすてきな日ね。

*1:お願い!ついてきて!

*2:ソーシャル・ネットワーク』とか

*3:『イップ・マン』とか