猟奇的な彼女を紹介します『ドリーム・ホーム』

文学フリマオフ会などを終えたあとに渋谷シアターNにて鑑賞いたしました。念願叶ってはじめてのシアターN。本編前の予告から『ムカデ人間』などの胸熱系ムービーを目撃させてもらい大変幸せでありました。いやはや、それにしても文学フリマは最高でした。今回も参加させていただいた打ち上げの場では、『ソーシャル・ネットワーク』のベストシーンはオレンジのポロシャツのコが振り返るところ。『ブラック・スワン』を見たあとにアレのソレをどうしただのと口走ったのはボクです。ボクにできる映画話なんて大体あんなもの。でも、ウケてもらえたのがとても嬉しいのであった。皆様、本当にお疲れ様/ありがとうござました!

さて、この『ドリーム・ホーム』でありますが、ものすごくおもしろかったです!ビバ貧乏人ともいうべき「海の見える高級マンションに住みたい!」という夢を抱く主人公チェン(asジェシー・ホー)が、突如として殺人鬼になってスクリーンに登場します。一見どこにでもいそうな普通のOLである彼女のその殺害動機とは?とのミステリーと、ビニール被せて中の空気を掃除機で吸っちゃうなどの多種多様な殺人方法などで、映画の求心力が高まっていく素晴らしい作品でした。

序盤のシーンでミニチュアに見えたシーンがあったのだけど、ツイッターでご教授いただいたところ「ティルト撮影」という撮影技法を用いているであろう、とのこと。このシーンがとても印象的で、物語が徐々に徐々に箱庭感を醸し出していくあたりを見ると、序盤のうちに映画の方向性を示唆しておくシーンだったように思う。

物語が進むにつれて謎が深まるどころか、あきれるほど納得させられてしまうのだけど、この人物描写がたまらなく素敵なのだ。凄惨な殺人場面こそ盛りだくさんではあるけれど、そのひとつひとつには「人間同士の殺し合い」というより、「動物同士の共食い」という、どこか滑稽で可笑しな印象を受けた。まあ、それが素晴らしい映画でしたね。うーん、あんまり言葉がでてこないので短めに。おわり。