邦画、暫定ベスト&ワースト『ラビット・ホラー3D』と『探偵はBARにいる』


『ラビット・ホラー3D』
今年の邦画暫定ワースト。そもそも『人魚姫』の話と、引き合いにだすほど重なってるカンジがしないよ。王子への思いを通してナイフを使わなかった悲恋物語なのに、本作ではブスッといってしまってる・・・なんで???まぁ、百歩譲ってそういうバッドエンドだったとして、そう描くことに成功していたとする。じゃあ、逆にどうすればキリコはハッピーエンドを迎えられたの?あの場でどういう選択をしていればトラウマを払拭できたの?・・・あれは無理じゃない?誰でも刺すよあんな状況じゃ。ワケもわからずに刺しているように見えたよ。あっても気に喰わないけど、キリコの「決断」っていう物語が無い。父の再婚を許せずにいたからってのがああなる原因だったなら、それはあんまりだとも思う。だって子供じゃんか。もうね、物語の根本がエゴまみれというか登場人物を殺すことに無駄に慣れているバカの似非不条理というかね。行き詰ったJホラーの「こわさ」の探求として「トラウマ」を題材にしたのはいいよ。だけど、喋れない人のナレーションとか都合悪い実の母のコトは描かないとか3Dで単に視覚的に作品世界に引き込もうとか、ラビットパンチは反則技だけど、ラビットホラーはただの勘違いだよ。キリコはきっと恨んでいるだろうから清水崇に取り憑けばいいと思う。




『探偵はBARにいる』
今年の邦画暫定ベスト。ハードボイルドは趣味じゃないし、ストーリー進行/推理描写がぜんぶモノローグで進んでいく音読スタイルには疲労困憊だったけど、それでもかなり良かった。役者陣がとにかく魅力的だったよ。ルパンやシティーハンター冴羽〓を実写化したような大泉洋の素晴らしさ、彼の相棒である松田龍平の得意の飄々とした演技、ファムファタールで高級クラブママの小雪さん、その他もろもろの出演陣に加えて何故か写真のみの出演を果たした吉高・トリス・由里子。近年の邦画で、アニメ原作のオーバーアクト以外の作品で、こんなにもキャラクターが生き生きとしている作品なんてあったかな。ほんとうに良かった。そんなキャラクターたちを溶け込ませる舞台ススキノへの丁寧な描写もつくり手の気骨にも拍手。これまた久しぶりに映画の舞台に行ってみたい!と思わされた。映像演出も利いているし、音楽も文句なしで、ごっつぉさん!と大コーフンしたいところだけど、一点、「オレとカノジョのスポットライト」・・・あれはやりすぎ、というか、ダサすぎ。まぁ、でも、いろいろと注文のある蒼井優映画『百万円と苦虫女』のように本作の小雪さんを何度でも見返しますよぼかぁ。続編では松田龍平の出番を増やして、できれば車を変えずにお願いしたいところですね。はい。